今年4月に行われる全国学力・学習状況調査の中学校理科で、初めてCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)方式が導入されるのを前に、文部科学省は1月15日、視覚障害など配慮が必要な生徒のためのサンプル問題を、同省のCBT方式「MEXCBT(メクビット)」上に公開した。サンプル問題の通常版はすでに昨年10月に公開しており、同省は3月までにサンプル問題を活用した事前検証を行うよう、教育委員会や学校に求めている。
来年度の全国学力・学習状況調査は、小学6年生と中学3年生の国語、算数・数学、理科のうち、中学校理科のみCBT方式で行われる。筆記方式の国語、算数・数学、小学校理科は4月17日に一斉に実施されるが、中学校理科については他の教科と離して4月14~16日に実施するか、他の教科とともに17日に実施するか、学校側の意向も踏まえて決められる。
新たに公開されたのは、主に視覚障害のある生徒が対象の「拡大文字問題」と、日本語指導が必要な生徒のために漢字にルビを振った「ルビ振り問題」。問題自体は通常版と同じで、ミドリムシの動く様子やルーペを扱う動画を視聴して解答するなど、CBT方式の特徴を生かした形で出題されている。このうち拡大文字問題は、文字や動画のサイズを拡大するとともに、目線の動きが上下のみとなるよう縦一列に動画が配置されている。文字サイズはさらに生徒が拡大することもできる。
同省はすでに配慮が必要な問題のニーズがどれだけあるか全国調査を進めており、中学校理科の学力調査実施希望日も含めて、今月中の回答を求めている。また、教委や学校に対し、昨年12月に公表したサンプル問題も含めて3月までに、現在、中学2年生の生徒がMEXCBT上で正しく解答できるか確認するとともに、ネット環境に問題がないか事前検証するよう求めている。
全国学力調査を巡っては、中学校理科にCBTを導入した後、2026年度は中学校英語でCBTを導入し、27年度には中学校、小学校ともに全教科でCBTに全面移行する方針が決まっている。