1月17日で阪神・淡路大震災の発生から30年となったのを受けて、阿部俊子文科相は同日の閣議後会見で、学校の防災対策や防災教育などの取り組みについて「災害時の早期の学びの確保のため、ソフトとハード両面から学校の防災対策に取り組んでいきたい」と述べた。
阿部文科相は会見の冒頭で、阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えたことに触れ、犠牲者に哀悼の意を表し、「この震災の経験と教訓を継承していきながら、引き続き災害発生時には万全の対応を速やかに行うとともに、防災減災、国土強靱化についても決意を新たにして、しっかりと取り組んでいきたい」と強調。
これまでの防災教育の充実について問われると、避難訓練の計画的な実施や、地域社会と連携し、教科などを横断した実践的な防災教育を推進してきたことなどを挙げた。
学校施設の耐震化では、最大震度7の揺れを記録し、6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災によって、大規模地震に備える重要性が強く認識されるようになり、地震防災対策特別措置法が成立。これにより、公立小中学校の耐震化が前進し、現在は耐震化がほぼ完了している。
一方で、学校施設の防災機能の強化に向けて、阿部文科相は「今後は(避難所となる)体育館の空調をはじめとした、防災機能強化を進めていく必要がある」と説明した。
また、阪神・淡路大震災の経験を生かし、兵庫県では、県外で大規模災害が起きた際に、学校の早期再開に向けた支援や子どもの心のケアに当たる教職員を被災地に派遣する「震災・学校支援チーム」(EARTH)を発足。一部の自治体に同様の取り組みが広がっている。文部科学省でもこうした支援を迅速に行えるようにするための、「被災地学び支援派遣等枠組み」(D-EST)の構築に取り組んでいる。
阿部文科相はこれらの取り組みを基に、「引き続き災害時の早期の学びの確保のため、ソフトとハード両面から学校の防災対策に取り組んでいきたい」と説明した。
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D-EST 「被災地学び支援派遣等枠組み」。大規模災害発生時に、被災地の子どもたちの学びの継続や学校の早期再開に向けて、文部科学省からの職員派遣、被災地以外の地域からの学校支援チームや教職員、スクールカウンセラーの派遣などを速やかに行えるようにする仕組みとして整備が進められている。