大学入学共通テストが1月18日と19日、全国の651会場で実施された。今年度の志願者数は49万5171人で、昨年度より3000人余り増えた。現行の学習指導要領に対応して新教科に「情報」が加わるなど教科・科目が大きく再編された。志願者のうち「情報」を受験したのは約6割の約30万人。また、5つの試験場で監督者や連絡員が指示や対応を誤ったため合わせて128人が再試験の対象となった。
大学入試センターによると、今回の共通テストの志願者の内訳は、現役生が42万5968人(全体の86.0%)、浪人生など既卒者が6万4974人(同13.1%)、高卒認定者などが3376人(同0.7%)など。志願者数は昨年を3257人(0.7%)上回った。志願者数が前年度を上回ったのは7年ぶり。
今回の共通テストは、2022年度から導入された現行の学習指導要領に対応して新教科「情報」が加わり、6教科30科目から7教科21科目に大きく再編されるとともに、一部教科で試験時間が変更された。「情報」ではプログラミングなども盛り込んだ「情報Ⅰ」が科目として新設され、既卒者は旧課程の「旧情報」を選ぶことができる経過措置が取られた。
同センターによると、受験者数が最も多い外国語を受験したのは45万4899人で、志願者の91.9%を占めた。新設の情報を受験したのは、「情報Ⅰ」「旧情報」を合わせて30万1934人で、志願者全体の61.0%だった。
一方、東京、滋賀、栃木、埼玉、福井の5都県の5つの試験会場では、監督者の指示や連絡員の対応に誤りがあったため、合わせて128人が再試験の対象となった。このうち滋賀県の滋賀大学の会場では、18日の「地理歴史、公民」の試験の際、監督者が試験開始前に受験番号などを記入するよう指示することを忘れていたということで、85人が再試験の対象となった。
また、福井、高知、北海道、大阪の4道府県で合わせて4人の受験生が不正行為で失格となった。このうち2人は試験終了後にマークシートに記入したため、1人は英語のリスニングで解答開始前にICプレーヤーを作動して解答を始めていた。もう1人は数学の試験中に机に数学の公式を書き込んでいたことがカンニング行為に当たるとされた。
共通テストを病気などやむを得ない事情で受験できなかった志願者への追試験は、1週間後の1月25、26日に行われる。同センターは22日に平均点の中間発表を行い、24日に得点調整の有無について公表する。
今回の共通テストを巡って、データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備校)は、各科目の問題分析と受験者の自己採点集計データを基に平均点予測を公表した。このうち新たに設けられた「情報Ⅰ」については、「全分野から出題され、設問の状況を丁寧に読み取ることで十分に対応できる問題であった」として、各問題について分析している。
問題構成は大問4問で、第1問はセキュリティー、ネットワーク、情報のデジタル化、情報デザインの基本的な知識や読解力、知識を活用する力が求められる内容。第2問は商品購入時のレシートに印字された情報を基にした問題と、事前に用意すべきおつりのシミュレーションの問題という、実用的で身近なテーマが扱われた。第3問は「プログラミング」で、工芸部の部員が複数の工芸品を分担して製作するために、担当の割り当てを自動化するアルゴリズムについて出題された。第4問は、「データの活用」として、観光庁の旅行・観光消費動向調査のデータを扱う問題が出題され、データの意味を読み取る思考力や分析結果を多面的に解釈することが求められる内容だったと分析している。
同委員会は、「情報Ⅰ」の全体的な難易については「やや易」と判定し、予想平均点について69点(100点満点)と推定している。