いじめの重大化要因を分析 こども家庭庁と文科省が検討会議設置

いじめの重大化要因を分析 こども家庭庁と文科省が検討会議設置
こども家庭庁とオンラインのハイブリッドで行われた第1回「いじめの重大化要因等の分析・検討会議」=撮影:松井聡美
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 いじめの重大事態の発生件数が2023年度、過去最多の1306件となったことを受け、こども家庭庁と文部科学省は1月20日、「いじめの重大化要因等の分析・検討会議」の初会合を開催した。重大事態調査報告書の分析を行い、その結果得られたいじめの端緒・予兆や重大化要因などを、学校現場でのいじめ未然防止に活用していく。

 文科省が昨年10月に公表した23年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、小、中、高校、特別支援学校でのいじめの認知件数が73万2568件(前年度比5万620件増)と過去最多となった。また、いじめの重大事態の発生件数は1306件(同387件増)に上り、こちらも過去最多だった。いずれも3年連続で増加している。

 こうした状況を受け、こども家庭庁と文科省が連携し、重大事態調査報告書を活用したいじめの質的分析を行う検討会議が新たに設置された。

 同会議では今後、重大事態調査報告書に記載された事実形態、再発防止策の分析を通じ、いじめの端緒や予兆、重大化の要因、子どもへの支援、学校などで取るべき対応などを整理し、子どもたちや学校現場に還元し、いじめの未然防止につなげていく。

 こども家庭庁の吉住啓作支援局長は「学校だけに任せればよいという趣旨ではない。福祉や警察などの力も結集し、地域全体で子どもへの支援を進めていく」と話し、文科省の松坂浩史大臣官房文部科学戦略官は「すでに実施しているさまざまな取り組みと合わせて、いじめの未然防止、早期発見、早期対応、再発防止に至るまでの総合的な取り組みが行われるよう、こども家庭庁と連携して取り組んでいきたい」と強調した。

 同会議の委員は、関西外語大学外国語学部教授の新井肇氏、こども教育宝仙大学教授の石川悦子氏、杏林大学客員教授の清原慶子氏、弁護士の栗山博史氏、株式会社先生の幸せ研究所代表取締役の澤田真由美氏、植草学園大学副学長の野澤和弘氏、大学生の村宮汐莉氏の7人。また、公益社団法人子どもの発達科学研究所の和久田学所長と、大須賀優子副所長が分析実務担当事業者として参加する。

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