教育無償化に向けた自民、公明、日本維新の会の3党による実務者協議が1月20日、国会内で開かれ、前回、維新が今年4月から所得制限を撤廃した高校の授業料無償化を実施したいと提案したことに対して、与党側が文書で具体的な問題提起を行った。この中で与党側は、高校に行かない世帯との公平性や4月実施に伴う実務の混乱、塾代などに充てられる高額所得者に有利になるのではないかといった課題を指摘したといい、維新側が次回会合で改めて論点を整理して与党側に示すことになった。
3党は教育無償化を巡って実務的に協議する「無償化を含む多様で質の高い教育のあり方に関する検討チーム」を設置して昨年12月から協議を始め、高校の授業料無償化を優先して議論を進めている。前回は維新が高校の授業料無償化に向けた工程表を示し、所得制限を撤廃する法改正などを行って今年4月から実施したいと提案していた。
同日の会合ではこれに対して与党側から問題提起をまとめた文書を提示し、4月実施に伴う具体的な課題を示した。会合後にブリーフィングした柴山昌彦衆院議員(自民)によると、高校に行かない世帯との公平性やお金の配り方など無償化の具体的な方法、4月実施に伴う実務の混乱に加え、塾代などに充てられる高額所得者に有利に働くのではないかといった論点も指摘したという。さらに無償化に伴う恒久的財源が必要であることにも言及したという。
こうした指摘を踏まえて維新の金子道仁参院議員は「無償化による公私の関係や都市部と地方の関係への影響などいろいろなことを議論しなければならない。われわれとしては過疎地域などどこにいても多様で質の高い教育の機会をしっかり確保していくべきと考えており、今回の意見交換を踏まえて論点を整理して与党に提案したい」と述べた。また、4月実施は厳しいのではないかとの指摘については、「全て一括して4月実施というのではなく、できることは早く、しっかり制度設計すべき点はあとに回すという2段階を提案している」と答えた。
3党は、今月24日に召集されている通常国会の日程もにらみながら協議を重ね、2月中旬をめどに一定の方向性を示す方針。