教職課程の単位が多過ぎる 教員養成部会で大学関係者ら

教職課程の単位が多過ぎる 教員養成部会で大学関係者ら
諮問について委員間で意見交換を行った教員養成部会の第146回会合=オンラインで取材
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 多様な専門性を持った質の高い教職員集団の形成の加速に向けた方策が諮問されたことを受けて、中教審初等中等教育分科会教員養成部会は1月24日、第146回会合を開き、諮問の検討事項に関する議論をスタートさせた。委員間の意見交換では、大学関係者から教職課程の単位が多過ぎることを問題視する意見が相次いだ。

 昨年12月25日に開かれた中教審総会で「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について」が諮問され、▽社会の変化や学習指導要領の改訂なども見据えた教職課程の在り方▽教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方▽多様な専門性や背景を有する社会人などが教職へ参入しやすくなるような制度の在り方――の3つの観点から、制度の根本に立ち返った検討が求められた。

 この日の会合では、諮問について委員間で意見交換を行った。

 小原芳明臨時委員(玉川学園理事長、日本私立大学協会会長、全国私立大学教職課程協会会長)は「大学の卒業要件は124単位なのだから、本来ならばその中に教職課程の科目も入るべきだ」と述べ、教職課程を取っている学生の中には200単位近い履修をしているケースもあると紹介した。

 これについては麻生隆史臨時委員(第二麻生学園理事長・山口短期大学長、日本私立短期大学協会会長)も、短期大学の教員養成について「短大は2年制では62単位、3年制で93単位という法令上の定めがある。幼稚園教諭と小学校教諭の免許を取ろうとした場合に62単位では全然足りず、100単位近く取らざるを得ない。ここに単位の実質化の問題が出てくる」と話した。

 佐古秀一臨時委員(鳴門教育大学長)は「教職課程は単位を取るために履修することになりがちで、新しい学びになりにくい。さらに教員不足や学校の小規模化で、複数免許を取ることが採用試験に有利になることがある。免許を複数取ることになれば単位数も過剰に増えてしまい、学びの質が変わらず、受動的に学ぶことが続いてしまう。学生の目線に立って、学びの質をどう変えられるかという観点で議論してほしい」と強調。

 複数免許を取得しようとしている学生の取得単位の軽減や、新たな教師の学びに相当する科目を教職課程に位置付けて共通化することで、学生の学びの質を変えていく必要があるとした。

 また、貞廣斎子委員(千葉大学副学長・教育学部教授)は、答申を待たず早急に「介護等体験」の在り方を検討すべきだと提案。その理由を「特別支援学校や特別支援教室での体験の重要性は失われていないと思うが、福祉施設などでの介護等体験は、受け入れ先の負担が大きい」と説明した。

 

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教職課程 大学などで教員免許状を取得するのに必要な単位が修得できるように、所定の科目などを設置した課程のこと。日本では開放制が原則とされ、教員養成を目的にした大学・学部でなくても、認定を受けて教職課程を開設することができる。

介護等体験 特別支援学校や社会福祉施設などで7日間以上、介護や介助、交流などの体験を行うもので、小学校と中学校の教員免許状の取得に必要な要件となっている。

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