特別免許状授与者向けの研修 多くの都道府県が実施せず

特別免許状授与者向けの研修 多くの都道府県が実施せず
iStock.com/kazuma seki
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 ほとんどの都道府県で、特別免許状を授与された人を対象にした研修が行われていないことが1月24日、文部科学省の調査で分かった。同省は、特別免許状を授与されて教職に立つ人は不安を覚えることもあるとして、教職に関する研修を積極的に実施するよう呼び掛けている。

 特別免許状は、教員免許状を持っていないものの、優れた知識・経験のある社会人などを教員として任命する際に、都道府県教育委員会が授与する。文科省では、多様な人材が学校現場で活躍できるようにするために、特別免許状の活用を推進しており、昨年5月に特別免許状の授与や活用に関する指針を改訂した。

 調査は、指針の改訂を踏まえた特別免許状に関する状況を把握する目的で実施。昨年8~9月に、各都道府県教委に聞いた。

 特別免許状の授与基準について、教育職員免許法の規定や指針をほぼそのまま踏襲して策定しているのは38都道府県、それらを踏まえて地域の実情や目指す教育内容に応じて独自の基準を策定しているのは7都道府県だった。

 指針の改訂を受けて授与基準や運用面の見直しを行ったのは16都道府県、行う予定なのは20都道府県に上った。

 また、46都道府県で特別免許状の授与を前提とした採用選考を行っており、2024年度の教員採用試験では、35都道府県で実際に教員免許を持たない人の受験申し込みがあった。

 しかし、特別免許状に関する情報は約8割の都道府県が一般向けにホームページで公開していたが、プッシュ型の周知については35都道府県が行っていないと回答しており、課題が残った。

 特別免許状授与者向けの研修を用意して実施しているのはわずか3都道府県で、31都道府県が初任者に対する研修などに参加してもらう形で実施。13都道府県は各学校や市町村に任せており、任命権者としては特段実施していないと答えた(=グラフ)。

特別免許状授与者向けの研修の実施状況
特別免許状授与者向けの研修の実施状況

 文科省では、特別免許状取得者は教職課程で修得する教職の専門性の不足に不安を覚えることもあるため、特に教職に関する研修を積極的に実施することが望ましいとしている。

 

【キーワード】

特別免許状 教員免許状を持っていない社会人経験者などに対し、都道府県教育委員会が授与する教員免許状。高い専門性を生かした指導や、学校現場に多様な人材を増やしていくことにつながるため、文部科学省では各都道府県に活用を促している。

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