誰よりもアンテナ高く、教育ニュースを得るメリット(庄子寛之)

誰よりもアンテナ高く、教育ニュースを得るメリット(庄子寛之)
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教育ニュースを読まなくても、日々の授業には困らない

 2025年が始まった。「今年はこんな年にしたい」なんて目標を立てた人がほとんどではないだろうか。ちなみに私は、お世話になる学校、自治体の具体的な変化にまで伴走し切ること、ご縁を大切にしながら、自分のできることを最大限行っていきたい、という目標を立てた。そんな中「もっと教育の勉強をする」「ちゃんと情報を収集する」という目標を立てた人もいるのではないだろうか。

 この記事を読んでいる方は日々、アンテナ高く情報を収集している方であろうと思う。教育ニュースを読まなくても日々の授業には困らないかもしれないが、それでも情報を得るメリットについて、今回は考えたい。

子どもたちの「その後の人生」を意識して教えているか

 私が小学校の教員を退職して2年が過ぎようとしている。教員時代も全国各地を回らせていただき、研修や講演活動を行ってきた。しかし今になってみると、その時には分かっていないことがたくさんあった。それは大きく2点ある。

 まず、高校受験や大学受験などの「出口」を知らなかったことだ。小学校教員として、約20年間働いてきた。小学校で習う学習を分かりやすく教えること、子どもたちが楽しく学校生活を送れることに全力を尽くしてきた。しかし今考えると、その場しのぎだった感が否めない。小学校教師としての私にとって出口は小学6年生の卒業式であり、その時に「小学校、楽しかった!」と言って卒業してほしいという思いが強かった。

 それは違う。その児童の人生はこれからもずっと続く。社会に出た時に活躍する学力、コミュニケーション能力という観点で教えていたかというと、疑問が残る。

 もう一つは、社会の変化に敏感でなかったことだ。この20年で社会は大きく変化した。インターネットやSNSが当たり前になり、誰もがスマートフォンを持つ時代となった。にもかかわらず、学校現場で教えていることは何十年も前から大して変わっていない。

 時代に合わせて変化しようという気持ちが足りていなかったと感じている。ただ、目の前のことにいっぱいいっぱいで、勉強する余裕がなかったということも、言い訳に聞こえるかもしれないが、影響していると思う。

学力は高いが、大人になってから幸せになれない日本人

 23年のTIMSS(国際数学・理科教育動向調査)の結果も、22年のPISA(国際学習到達度調査)の結果も、日本は上位であった。コロナ禍のために各国では学習の機会を保障できなかったにもかかわらず、日本はタブレット端末を全児童生徒に配布し、オンライン授業にも積極的に取り組んだ。今回だけでない。日本の学力はずっと、国際水準で比べるとトップクラスを維持している。

 しかし、日本経済の明るい話を聞かないのはなぜだろう。子どもも大人も個人の能力は世界トップレベルであるが、日本経済については「失われた30年」などといわれている。ここから言えることは、「学力が高いことと、大人になってから活躍する力は同じではない」ということではないだろうか。

今年はまず、自分が学ぶゆとりをつくろう

 変化の激しい時代と呼ばれて久しい。そして、その変化はどんどん速くなっている。先生方はアップデートできているだろうか。

 「そんな時間がない」という気持ちはとてもよく分かる。しかし、時間は作るものである。年始に目標を立てたのであれば、その中に「◯◯をしない」という目標は立てただろうか。「やらなければいけない」という思い込みをアップデートするためにも、教育ニュースにアンテナを張るべきである。変化の波を乗り越え、学び成長する1年にしたい。教育現場における情報収集とその活用が、次世代を担う子どもたちの未来を切り開く鍵となる。

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