子育て中の教職員のうち、男性の6割が自身の子どもと過ごす時間について「あまり取れていない」「全く取れていない」と考えている――。そのような実態が1月30日までに、学校現場の声を社会に届ける活動を行うNPO法人『School Voice Project』が公表したアンケート調査の結果で明らかになった。男性教職員の多くが子どもとの時間を「不十分」としているのに対し、女性教職員では約4割にとどまった。子育てと仕事の両立にあたっては、「定時退勤可能な業務量」「人員の増加」を求める意見が集中。同NPOは「教員自身がライフステージに応じて柔軟に働き方を変えていけることは、教員不足の解消のためにも必要不可欠」と訴える。
同調査は昨年11月8日~12月9日に、全国の小中高校の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員を対象にインターネット上で実施。61件の回答を得た。
回答者のうち、18歳未満の子どもがいる教職員43人に向けて「子どもと過ごす時間を十分に取れていると思うか」を尋ねると、51%が「取れている」「まあ取れている」と回答。一方、「あまり取れていない」「全く取れていない」と答えた教職員も49%に上り、全体をほぼ二分する結果となった。
男女別の内訳では、子どもと過ごす時間を「取れていない」「あまり取れていない」男性教職員は60%だったのに対し、女性教職員は44%で、男女間での偏りが目立った。また雇用形態別に見ると、非正規雇用の教職員は6人全員が「取れている」「まあ取れている」と回答したものの、正規雇用では40人中20人と半数にとどまった。子どもとの時間を不十分とする理由については、「部活動や授業外業務が多い」「退勤時間が遅く通勤も長くかかるため、超過勤務になる」などの声が多く上がった。
子育てと仕事を両立させるため「理想とする働き方」については、「定時退勤可能な業務量にする」「人員を増やす」が回答者61人中、ともに33%で最多。以下、▽時短/時差勤務を可能にする 15%▽勤務校を選択可能にする 8%▽休みを取りやすくする 5%▽その他 6%――と続いた。
これらの結果に対し、同NPOは「学校現場の課題は多くが連動して起きており、その根元に人手不足という大きな課題が横たわっていることが伺える」と分析。子育てと教職の両立を目指す上で、「教員の仕事や学校活動の在り方の見直し、また仕組み作りをすることが、より一層求められている」と強調した。