大阪・関西万博への出展企業などが講師となって行う出前授業「EXPOスクールキャラバン」が1月30日、東京都大田区立池上第二小学校(束田都美校長、児童499人)で行われた。子どもたちは同社の素材を、自分たちのアイデアで新しいものに変身させるワークショップに挑戦。アイデアをAI画像生成でイラストにしていく過程では、特に盛り上がった。
「EXPOスクールキャラバン」は全国の小中高校、特別支援学校などで実施されており、200校程度での実施が予定されている。
この日は大阪・関西万博にパビリオン「ノモの国」を出展するパナソニックホールディングス㈱が、同校の5年生3クラスに「『素材』をアイデアで変身させるワークショップ」を行った。
ファシリテーターを務めた同社の冨田和志さんが、子どもたちに同社のマテリアル(科学素材)から生まれた8体のモンスター「マテモン」を紹介。冨田さんは「マテモンはいろいろなモノに変身するのが得意で、その力で暮らしの役に立ちたいと思っているよ。みんなのアイデアでマテモンを変身させてみよう」と投げ掛けた。
今回はマテモン8体のうち、グループごとに「ファザード膜」か「アラウーノ樹脂」が割り当てられ、それをどう変身させていくかにチャレンジした。
まずは「変身テーマ」を決めることからスタート。「スポーツが上手くなる」「生活が便利になる」「学校がもっと楽しくなる」など、7つの変身テーマとマテモンを掛け合わせ、キーワードを考えていく。例えば、マテモン「ファサード膜」が割り当てられ、「スポーツが上手くなる」の変身テーマを選んだグループでは、「靴」「ユニフォーム」「ボール」などのキーワードが出てきていた。
次に、マテモンの特徴とキーワードを掛け合わせて、具体的なアイデアを出していく。「アラウーノ樹脂」には、「軽くて丈夫」「いつもピカピカ」「いろいろな形になれる」といった特徴があるので、子どもたちからは「いつもピカピカなら、水に関係するものの方がいいんじゃない?」「軽くて丈夫ならば、持ち運びもしやすいから、テーブルや椅子もいいかも」といった具体的なアイデアが出てきていた。
アイデアは「どこにいる?」「どんな時に活躍する?」「何ができる?」「誰を幸せにしてくれる?」「変身したマテモンの名前は?」と書かれたワークシートにまとめていく。
そして、最後にAI画像生成ソフトを使って、みんなで考えた「変身したマテモン」をイラストにしていった。初めて生成AIを使うという児童も多く、興味津々の様子。イメージを指示しながら、AIが出してきたイラストに「なんか違うなぁ」「もっとリアルな感じにしようか?」など、グループで相談してプロンプト(指示)を変えながら、何度も試行錯誤して自分たちのイメージに近づけていった。
「じゅしテーブル」という変身したマテモンを考えたチームは、「お年寄りや障害のある人でも、アラウーノ樹脂を使うことで、軽くて持ち運びしやすく、きれいな状態を保てる」と発表していた。
素材から未来につながるアイデアを考えたことについて、子どもたちは「素材の特徴を生かせそうなものをたくさん思い付いたから、一つにするのに迷ったぐらい」と笑顔を見せ、ワークショップについては「どうしたら素材の形状などをうまく生かせるかを考えるのが楽しかった」「生成AIを初めて使ったけれども、イメージ通りのものがリアルに出てきて驚いた」などと感想を話した。