「こどもが自ら命を絶つのを防ぐのは、大人の責務」 三原担当相

「こどもが自ら命を絶つのを防ぐのは、大人の責務」 三原担当相
こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議であいさつする三原担当相=撮影:松井聡美
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 厚労省が公表した2024年の自殺者数の暫定値で、小、中、高校生の自殺者数が過去最多の527人に上ったことを受け、第8回「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」が1月31日、こども家庭庁で開催された。三原じゅん子こども政策担当相は「未来を担うこどもたちが自ら命を絶つことは、何としても防がなければならない。今を生きる大人の責務だ」と述べ、政府一丸となって取り組んでいく決意を述べた。

 厚労省のまとめによると、24年1~12月の自殺者数は2万268人で、統計を取り始めた1980年以降、2番目に少なかった。その一方で、児童生徒については小学生15人、中学生163人、高校生349人で計527人に上り、前年より14人増え、過去最多となった。特に中学生女子と高校生女子で増加が目立ち、初めて女子の自殺者数が男子を上回った。確定値は3月に公表される予定。

 この日の会議では、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく各省庁の取り組みの進捗(しんちょく)状況が報告された。こども家庭庁では、こども・若者に届くような広報啓発活動を実施・検証し、こども家庭庁が取り組むべき広報啓発の方針を検討している。また、「こどもの悩みを受け止める場に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、こどもや支援団体との積極的な意見交換などを行っている。

 文部科学省では、自殺予防教育推進事業として、教材や指導資料などを全国の学校に確実に普及させるため、自殺予防教育を十分に実施できていない学校に対する授業の支援などを実施。また、チーム学校として取り組むため、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの相談体制を強化している。その他、SNSを活用した相談体制の構築や、1人1台端末などを活用した「心の健康観察」を全国の学校での実施を目指し、導入を推進している。

 同会議において三原担当相は「こどもの自殺を防ぐことは簡単な道のりではないが、未来を担うこどもたちが自ら命を絶つことは何としても防がなければならない。今を生きる大人たちの共通の責務だ」と強調。

 「まずは時間と予算をかけずとも、今すぐできるものを実施していく。関係機関や現場に再周知し、プランに掲げる施策について、より効果的な方法はないのか、新たに講ずべき施策はないのかなど、さらなる検討をし、政府一丸となってこの課題に取り組んでいく」と決意を述べた。

 一方、阿部俊子文科相は同日の閣議後会見で、昨年の児童生徒の自殺者数が過去最多となったことについて「極めて重大に受け止め、大変痛ましく感じている」と述べ、自殺予防に向けて学校の危機管理体制の強化などを進める考えを示した。

 阿部文科相はこの中で、学校内で児童生徒の自殺予防に組織的に取り組む「校内連携型の危機対応チーム」や、学校外の専門家も加えた「ネットワーク型緊急支援チーム」の設置などを通して、校内での危機管理体制の強化を図るとともに、福祉部局などとの連携も強化する考えを示し、「未来を担うこどもたちの命を守るために、自殺予防の取り組みに力を尽くしてまいりたい」と述べた。

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