東京都品川区は2月5日、2025年度の当初予算案を発表した。森澤恭子区長は記者会見で、26年度から区立中学校に入学する生徒の制服を所得制限なしで全額無償化することを明らかにし、「教育費は本来無償であるべきで、物価高騰で子育てが厳しくなっている中、負担を軽減したい」と述べた。併せて来年度から中学校で実施する修学旅行の旅費も無償化する。制服の無償化は東京23区内で初めてという。
発表によると、制服無償化の対象となるのは、来年4月に区立中学校に入学する生徒で、公費で上衣(ブレザー、ジャケット)と下衣(スタックス、スカート)を一括購入して、入学時に受け渡す。特別支援学校も対象となる。区立中学校は15校あり、制服費は約3万3000円~約5万2000円。主な対象となる区立小学校5年の児童は約1900人で、同区は当初予算案に制服代にかかる費用約1億円を盛り込んだ。
森澤区長は会見で、民間調査で保護者の制服代の負担感が大きいことなどを踏まえて判断したと説明し、「本来、教育は所得にかかわらず無償で受けられるべきと考えている。物価高騰で子育てが厳しくなっている家庭の負担軽減を図りたい」と述べた。ただし、制服の提供は入学時のみで、生徒の体に合わなくなったときなどは、各校で進めているリユースを利用してほしいとしている。
また、森澤区長は制服無償化に加えて、来年度に中学校で実施される修学旅行費についても交通費、宿泊費を所得制限なしで無償化し、約1億3500万円を当初予算案に計上したことも明らかにした。1人当たり7万5000円を上限に実費を補助する。各中学校とも来年度は京都、奈良への修学旅行を予定しており、約1700人が対象となるという。
さらに今年10月をめどに、区立小中学校の学校給食で使う全ての野菜を、有機農産物や農薬などの使用を抑えた特別栽培農産物にすることも発表した。同区は23年度から学校給食の無償化を導入しており、より安心・安全な学校給食を実現することで、児童生徒の健康増進を図りたいとしている。