学校の電話対応をなくし、自治体にコールセンターを(庄子寛之)

学校の電話対応をなくし、自治体にコールセンターを(庄子寛之)
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教員が多くの時間を取られているのが「電話対応」

 朝、授業準備をして、日中は授業をして、放課後に事務作業と会議、明日の準備をして退勤する――。このルーティンができるなら、自分で仕事量を調整し、計画的に働くことができる。しかし、学校はそういう場所ではない。不規則に仕事が生まれる。その主なものが児童対応と保護者対応である。

 保護者対応の多くは、電話である。電話は保護者との関係をこじらせるきっかけになる。相手の声だけで状況を判断しないといけないからだ。とりわけ、相手に思いがある案件だと電話は長くなる。関係する児童の保護者にも確認を取るなどの対応が発生する場合も多いが、その保護者が電話を取ってくれる可能性は低い。

 この10年で通信環境は一変している。保護者はほぼ全員がスマホを持ち、固定電話をなくす家庭も増えた。共働き率は増え、家庭に電話して保護者がいる方が珍しい。

電話より、もっと効率的なやり方はないか

 私は学校も電話対応を極力、なくすべきだと考える。

 現状、電話が使われている場面は、①「欠席(遅刻・早退)連絡」と、②「教員への相談」、③「けが・発熱などの緊急対応」の3点である。3つ目の緊急対応はやむを得ないとしても、1つ目と2つ目には、改善の余地が大いにある。

 1つ目の欠席連絡は、メールやアプリなどでできる自治体が多くなった。保護者もスマホアプリから容易に連絡できるようになって助かっているのではないだろうか。少なくとも私は保護者としてとても助かっている。

 つい数年前は、朝にはとにかく電話がかかってきていた。早いときは朝の7時前から電話が鳴る。勤務時間ではないが、出勤している教員が応答して、内容を聞き取り、担任の机の上にメモを置く。この作業だけで朝の時間が10分減る。そんな電話を何件も取れば、当然その分、時間が奪われてしまう。

 最近は留守番電話サービスなどになり、8時くらいまで留守電になる学校も増えた。しかし、解除されてからは電話が止まらない学校もよく見る。この時間もかなりの無駄である。そもそもメールで送れるのだから、電話は受け付けないようにしたいものだ。その時間のせいで、子どもたちの顔を見る時間が減ると言っても過言ではない。

メールやチャットにするだけで生産性が上がる

 1つ目の欠席連絡に電話が要らないことはご理解いただけたかと思う。問題は2つ目の、「保護者からの教員への相談」である。

 これをメールやチャットだけにすると、かえって事態をこじらせることも考えられる。文字には、感情が伝わりづらい面がある。怒っていないのに怒っているように受け取られることもあるし、その逆もある。私たちがメールなどで絵文字やビックリマークを使うのは、感情を補うためでもある。

 しかし、保護者は学校に絵文字やビックリマークを多用するわけにはいかない。文字だけで思いを伝えるのは難しいから、いっそ電話してしまいたいと考える保護者もいるだろう。教員の側の、今日あったことをすぐ保護者に報告したいという気持ちも分からないわけではない。

教師も忙しい、保護者も忙しい

 しかし、この場合も電話は緊急時などの必要最低限にすべきだ。保護者の立場からすると、仕事中に学校から電話がかかってくれば、「何かあったのか?」と気になる。折り返してもつながらなければ、モヤモヤして仕事にも集中できない。メール対応でよいならそうすべきだし、メールで済まないような大きな問題の場合は、学校に来てもらって、話して解決すべきだ。毎日電話するような担任を見るが、それは相手のことを考えていない。学級も決して良い方向に進まない。

 私は学校での電話対応をなくし、自治体コールセンターにつながる仕組みを提案する。思い付きで提案しているのではない。現に今の私がそういう働き方だからだ。

 私と面識がない方が私に連絡を取りたいときは、弊社のお問い合わせ窓口にお電話いただく。コールセンターからメールが入り、「必要であればご返信ください」と連絡先が知らされる。私は都合の良い時に折り返すので、時間は全く奪われない。とても効率的だ。

 担任と連絡を取りたい保護者は、コールセンターに電話する。電話の案件を聞き取ったコールセンターの方が、担任にメールをする。そのメールを確認し、都合の良いタイミングで折り返す。その時、番号は伝わらない仕組みも考えた方がいいだろう。ただ、非通知を許可していない方もいるので注意が必要だ。

何かを加える前に、何かを減らすという発想を

 日常的な電話対応がなくなるだけで、教員の働き方はがらっと変わる。そもそも「できる教員」は、保護者との電話対応が圧倒的に少ない。だからこそ早く帰れて、授業もうまいという好サイクルに入る。「できない教員」は保護者対応が増え、電話に時間が取られ、教材準備ができないという負のサイクルになる。どっちのサイクルを回すためにも電話対応という時間を減らさなければならない。

 ぜひどこかの自治体で取り組んでいただきたい。特に小さな自治体が始めやすいと考える。始めるという自治体は弊社のお問い合わせ窓口にご連絡いただきたい。全力でサポートさせていただく。

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