「悩まず相談を」 阿部文科相が発達障害の生徒らにメッセージ動画

「悩まず相談を」 阿部文科相が発達障害の生徒らにメッセージ動画
発達障害のある児童生徒らに阿部文科相が発信したメッセージ動画=文科省の公式「X」(旧ツイッター)より
【協賛企画】
広 告

 阿部俊子文科相は2月12日、発達障害のある児童生徒やその保護者などに向けたメッセージ動画を、文部科学省のYouTube公式チャンネルなどSNSを通して発信した。同省の調査によると、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒は増えている一方、通級による指導を受けている生徒が特に高校では少ないなどの課題があり、阿部文科相は動画の中で「1人で悩まず、学校や教育委員会に相談してください」と呼び掛けている。

 阿部文科相のメッセージ動画は約1分半。発達障害のある児童生徒やその保護者に向けて、「学校では通常の学級の中でできる支援や、通級による指導を用意しています。1人で悩まないで、まず学校や教育委員会に相談してください」などと呼び掛けている。

 また、学校の教員に対しても、「子どもたちの困難さを理解し、一人一人の思いや願いに寄り添った指導や、必要な支援をよろしくお願いします」と呼び掛け、最後に「全ての人が誇りを持って生きられる社会に向けて、子どもたちへの支援に全力で取り組んでまいります」と決意を示している。

 さらにメッセージ動画とは別に、学習面や行動面で苦手なことで困っている子どもとその保護者に向けて、「忘れ物や遅刻が多い」「片付けが苦手」など発達障害の特徴などを説明するとともに、適切なサポートが重要であることや、学校での支援として通級による指導が行われていることを紹介する動画も公開した。

 同省が2022年12月に公表した調査結果によると、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒は、小中学校では8.8%、高校では2.2%に上った。一方で、こうした児童生徒の困難を改善・克服するため、一人一人の状況に応じてサポートする通級による指導を受けている児童生徒は全国で約20万人に上っているにもかかわらず、高校生はこのうち約2000人にとどまっており、周知と広報が課題となっている。

 学校での通級による指導を巡っては、1993年に小中学校で制度化されたのに対し、高校での制度化は2018年と日が浅いことに加えて、学年が上がるにつれて保護者が周囲の視線を気にしたり、授業の遅れを心配したりして積極的に活用しないといった事情もあるとみられている。このため通級による指導を行っている公立高校は全体の約10%にとどまっている。

 同省特別支援教育課は「社会人になってから発達障害によって困るケースもあり、子どもが抱えている困難の特性に応じて、改善する指導を行っている通級による指導の活用も考えてほしい」としている。

広 告
広 告