開校から2年目、学びの多様化学校「白石きぼう学園」の校内研究

開校から2年目、学びの多様化学校「白石きぼう学園」の校内研究
シンポジウムでは白石きぼう学園が取り組んだ校内研究が発表された=オンラインで取材
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 開校から2年目を迎えた東北初の小中一貫学びの多様化学校「白石きぼう学園」(白石市立白石南小中学校)の実践などを基に、多様な子どもや学びに対応するためのヒントを探ろうと、宮城県白石市教育委員会が主催する教育実践ローンチ・シンポジウムがこのほど開催された。白石きぼう学園の教員からは、子どもたちの思いに寄り添う校内研究について発表があった。

 白石きぼう学園は2023年4月に開校。児童生徒数は、昨年度は18人でのスタートだったが、現在は35人が在籍している。この日のシンポジウムでは、同校の校内研究について、佐藤由香教頭と研究主任の一條亜紀子教諭が発表した。

 同校は「学校らしくない学校」をコンセプトに掲げ、▽自分のペースを最大限に尊重する▽独自の教科「白石タイム」で学び直しの時間をとり、基礎的な学力を保障する▽人との関わりを重視した「夢スタジオ」で体験活動の機会を設ける――といったことを重視しながら取り組んできた。

 開校から1年がたった23年度の終わりには、子どもたちからは「学校が楽しい」「先生や友達とたくさん話せるようになった」などの声が上がっており、子どもたちにとって学校が居場所や学びの場になりつつあった。その一方で、「自分の学び方にまだ不安がある」「もっと分かるようになりたい」という声も上がっていた。

 こうした子どもたちや教職員の声を踏まえ、開校2年目の校内研究は「校内研究とは、こうあるべき」という固定観念からの転換を図り、子どもたちの思いや実態に寄り添っていくことを柱に校内研究を進めている。

 授業や学活、休み時間など、子どもたちとの対話を重視し、「気になること」「困っていること」「やってみたいこと」など、子どもたちから上がった声を基に、新たな研究実践を積み上げていった。

 例えば、「白石タイム」の授業では、担任との面談で学習する教科を選択し、学習内容を決め、振り返りを重ねていくことで、子どもたちの「分からないことや苦手なことを解決しようと思う」「勉強を頑張ってみようと思う」という意欲が高まった。また、教員からは「学習の積み重ねを実感し、授業での学びに生きている」「できた喜びが授業への興味関心、意欲になっている」などの声が上がり、子どもたちからも「授業で答えられる問題が増えた」「自分で決めたから最後までやる」などの意欲が見えてきているという。

 こうした校内研究を通して、佐藤教頭は「子どもたちの自己選択、自己決定の大切さを再確認した」と実感を込め、一條教諭は「子どもたちを中心にした、子どもたちのための校内研究であることを忘れず、学びの楽しさを追究していきたい」と述べた。

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