標準授業時数は確保を 川崎市の調査受け、文科相が見解

標準授業時数は確保を 川崎市の調査受け、文科相が見解
標準授業時数の考え方を説明する阿部文科相=撮影:藤井孝良
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 川崎市教育委員会の調査によって、短縮授業の日が多く設定されたために、複数の市立中学校で3年生の年間総授業時数が標準授業時数を下回っていたことに関し、阿部俊子文科相は2月14日の閣議後会見で、一般論として「授業の単位時間を変更する場合であっても、年間の標準授業時数を確保して教育課程を編成することが必要」と述べた。一方で、不測の事態によって標準授業数を下回ってしまった場合は、それだけで直ちに法令違反とはならないという、これまでの考え方も説明した。

 学校教育法施行規則で、中学校の授業は1コマ50分を単位とし、年間の総授業時数は1015が標準と定められている。

 川崎市は同10日、各中学校の判断で通常より5分短い45分授業を何日か設けていたところ、7校で、他の学年より授業日数が少ない3年生の標準授業時数が4~19時数不足していたことを公表した。不足した学校では、高校入試が終わった後に追加で授業を行うなどして、不足した時数を補う。

 この川崎市の対応について阿部文科相は「詳細な事実関係を把握していないために、個別のコメントに関しては控える」とした上で、一般論として「授業の単位時間を変更する場合であっても、年間の標準授業時数を確保して教育課程を編成することが必要だ。川崎市教委は各学校の状況などを踏まえて、適切に対応してほしいと考えている」と述べた。

 標準授業時数について阿部文科相は「これからの社会を生きる子どもたちに求められる資質・能力を育成するために必要な内容を指導するため、必要な時間数として定めたもので、教育の質を量的に支えるものとして重要だ」と強調。

 一方で、文部科学省は新型コロナウイルスの感染拡大によって長期間の臨時休校が行われた際、その年度の年間授業時数が標準授業時数を下回ってしまったことのみをもって、学校教育法施行規則に反するものとはされない、との見解を示している。これを踏まえ阿部文科相も、感染症や災害などの不測の事態で標準授業時数を下回っても、それだけで直ちに法令違反には当たらないと説明した。

 

【キーワード】

標準授業時数 学習指導要領で示している各教科などの内容を指導するのに必要な時数を基に、国が定めた学年ごとの年間の授業時数の基準。小学校は45分、中学校は50分を時数の単位時間としている。

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