高校無償化へ予算案修正に応じる意向 首相が衆院委で明言

高校無償化へ予算案修正に応じる意向 首相が衆院委で明言
高校無償化を巡る方針について答弁する石破首相=衆院インターネット中継より
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 高校の授業料無償化について自民、公明、日本維新の会の3党協議が進む中、石破茂首相は2月17日の衆院予算委員会で、「協議が整えば国公私立全世帯を対象に年11万8800円の支援金の支給について、2025年度分の年収910万円の収入要件を事実上撤廃したい」と述べ、今年4月からの基準額支給に向けて来年度予算案の修正に応じる考えを示した。また、26年度に向けて私立高校に通う生徒への支援金を、現在の上限39万6000円から引き上げることを検討する意向も示した。日本維新の会の前原誠司共同代表からの質問に答えた。

 現在、高校の就学支援金は年収910万円未満の世帯に年間11万8800円を支給。私立高校の場合、年収590万円未満の世帯には、年間39万6000円を上限に支援金を支給している。

 石破首相は、まず3党協議も踏まえた今年4月からの取り組みとして、「本格的な制度改正を見据えた先行措置として、国公私立全世帯を対象に年11万8800円の支給について年収910万円の収入要件を事実上撤廃したい」と述べ、全ての高校生に基準額を支給する考えを示した。

 その上で、本格的な高校無償化に向けて、「協議が整えば『骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2025』までに大枠を示し、26年度予算編成で成案を得て実現したい」と述べ、26年度の実施を目指す意向を示した。本格的な制度改正の論点としては、▽義務教育との関係▽教育の質の確保▽多様な人材育成の実現との関係▽収入要件の撤廃に向けた対象者の範囲の考え方▽引き上げを前提にした私立高校の生徒への加算額の水準の考え方――などを挙げ、「これらの論点を十分検討して、安定した恒久財源の確保と合わせて実現させたい」と意欲を示した。

 さらに前原共同代表が「上限額を引き上げる方向とのことだが、どのくらいの引き上げを考えているのか」と質問したのに対し、石破首相は「直近の全国の私立高校の平均授業料である45万7000円をベースとして、詳細な実態調査を行う必要がある。公立高校の生徒1人当たりや私立高校の1人当たりに投入される公費のバランス、授業料と施設費との関係、私学助成との関係などを勘案しながら、安定財源の確保を合わせて検討を深める必要がある」と述べ、3党協議の内容も踏まえて慎重に検討する考えを示し、具体的な引き上げ幅は明示しなかった。

3党政調会長会議で引き続き協議

 衆院予算委員会の内容も踏まえて、同日午後、自民党の小野寺五典政調会長と公明党の岡本三成政調会長、日本維新の会の青柳仁士政調会長らによる協議が国会内で行われた。

 協議後のブリーフィングによると、各党から修学支援金の考え方が改めて示されて議論したという。私立高校の支援金の上限を巡って、与党側は「公立と私立のバランスをしっかり考える必要がある」と説明するにとどまり、具体額は示さなかったという。また、農業や工業など専門分野を学ぶ公立高校を支援する制度の必要性も主張した。

 一方、維新の青柳政調会長は、大阪府で支給されている上限額の63万円を改めて主張したという。また、合意を確認する上では3党の党首による合意文書のみではなく、実施の手順や財源なども示したプログラム法案の制定を求める意見が維新から出されたという。

 3党は引き続き、来年度予算案への対応も視野に入れて、私立高校の支援金の上限額などを巡って合意に向けて協議を続けることを確認した。

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