「先生の日々がワクワクする、そんな人・教材・手法と出逢う機会にする」をテーマに、教員らが自分の在り方や実践を発表する「TEP(Teacher Entertainment Presentation)」がこのほど、東京都品川区のコクヨ品川オフィスを会場に開催され、教員や大学生、保護者や子どもたちなど100人が参加した。9人の教員らがプレゼンし、主催した公立小学校教諭で起業家でもある「ルフィ先生」は「学校の先生は楽しいということを伝えていきたい」と思いを述べた。
先生による先生のためのスペシャルトークイベントとして初めて開催された「TEP」には、9人の教員らが登壇した。
東京都内公立小学校の内海孝亮教諭は「管理職のなり手不足が深刻だ」と問題提起。自身が主幹教諭になり、学級だけでなく、学校組織全体を見るようになった中、若手の教員が辞めてしまうこともあるなど、苦難もあったことを振り返り、「管理職とはなんだろう、チームとは、組織とはなんだろう……。そこから学び始め、多くの仲間と出会い、対話の大切さを感じた」と話した。
「同僚同士で良いところを伝え合うことが、チームの源」と話し、「管理職は楽しいということを伝えていきたい。管理職とは“育成職”だ」と締めくくった。
福島県公立小学校の「さとる先生」は、2020年のコロナ禍に子どもたちが「私たちができること」をテーマに、総合的な学習の時間で野菜を栽培し、その利益を医療関係者や飲食店に寄付したり、飲食店とコラボするなど、子どもたちが「やりたい」ことに取り組んだ実践を紹介。
子どもたちは夢中で取り組み、「超楽しくて、頭から離れない」「今後に役立ちそう」という声が上がっていたそうだ。そうした子どもたちの姿に「感動したとともに、やりたいこと、自分の意見を言える子どもたちがうらやましいという嫉妬の感情もあった」と振り返る。
「過去の自分を思い返すと、自分の意見を言わないし、聞き役や全体の調和役で、自分よりも他人を優先していた。そうしていたのは怒られるのも、トラブルになるのも嫌だったから。でも、本当にそれでいいのだろうか。『やりたい』という心の声に素直な人の姿は、人を感動させる」と子どもたちの姿から刺激を受けた。
それ以降、「大人だって自由に自分を表現していい」との思いで、現在はインスタグラムで発信。今年度からは教務主任となり、「先生たちの『やりたい』を引き出して、生かしていきたい」と力を込めた。
東京都公立中学校で特別支援教室(通級)を担当する「マッチ先生」は、初任の頃は保健体育科の教員として、規律や厳しさを重視した指導をしていた。しかし、そうした指導に疑問を抱き、それ以降、不登校対応や特別支援、コーチング、ペップトークなどを学んできた。
そして今の教育について、「苦手の克服に主軸があるのではないか」と投げ掛ける。「さまざまなことを学ぶ中で、得意なことを伸ばしていくと、苦手なことはどんどん小さくなっていくということが分かった。得意を伸ばしていくことで、子どもたちも先生も生き生きしてくる」と強調した。
また、マッチ先生のかつての教え子もステージに上がり、「マッチ先生はいい意味で変わらない。僕らも元気をもらって、前向きになれた」「中学のころ、マッチ先生たちがいなければ、専門学校に行って夢をかなえるということはなかった。得意な分野を伸ばしてくれたからこそ、今ここにいる」と思いを述べた。
参加者からは「等身大の思いを話してくれた」「しんどい思いをそのまま話してくれた先生たちに、人間味を感じた。つらいことを経験している人だからこそ、伝わってきたことがあった」などの感想が上がっていた。