スクールロイヤーへの相談 目立つ「保護者」「いじめ」対応

スクールロイヤーへの相談 目立つ「保護者」「いじめ」対応
iStock.com/takasuu
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 文部科学省は2月18日、専ら教育行政に関与する弁護士(スクールロイヤー)への法務相談体制の整備などに関する調査について、2023年度間の結果を公表した。スクールロイヤーへの相談体制がある自治体は都道府県や政令市でおよそ9割に達する一方、中核都市は約7割、市町村は1割強にとどまった。相談内容はいずれの自治体でも「保護者等からの苦情や要求」「いじめ」への対応が多かった。

 スクールロイヤーは、19年1月に千葉県野田市で発生した小4女児虐待死事件や「学校の働き方改革」を背景に、導入に向けた動きが加速。同年に萩生田光一文科相(当時)がスクールロイヤーを全国に約300人配置する方針を打ち出し、20年度から本格導入された経緯がある。

 今回の調査では教育行政に関わるスクールロイヤーの相談体制などについて、都道府県・政令市・市町村などにある計1785の教育委員会を対象に、23年度間または24年3月31日時点の状況を尋ねた。

 調査結果によれば、スクールロイヤーへの相談体制がある自治体は軒並み増加傾向にあり、とりわけ都道府県は87.2%(22年度調査に比べ4.2ポイント増)、政令市は95.0(同15.0ポイント増)で充実ぶりが目立つ。一方、中核都市は71.0%(同6.5ポイント増)、市町村は13.7%(同2.4ポイント増)にとどまり、自治体間でばらつきが生じていた。

 スクールロイヤーが未整備の自治体のうち、138の市町村を除く自治体で顧問弁護士などに相談可能な体制があった。また都道府県は5、政令市は1、中核都市は7、市町村は209の自治体で、24年度以降のスクールロイヤーの配置を検討していた。

 未整備かつ今後の配置を検討していない自治体に理由を尋ねると、複数回答で「自治体法務全般に関与する顧問弁護士で十分対応できているため」が各自治体で6割以上を占めた。ただ、中核都市や市町村などでは「予算の確保が難しいため」がおよそ5割に上った。

 スクールロイヤーへの相談内容の内訳を見ると、都道府県・中核都市・市町村などのいずれも「保護者等からの苦情や要求」への対応が最多。「いじめ」への対応も多くを占めた。都道府県では「教職員の不祥事」への対応が顕著な傾向にあった。

 これらの調査結果を受け文科省は、各教委に対しスクールロイヤーに関する情報提供を行うとともに「引き続き相談体制の充実に向けた取り組みを促す」としている。

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