私立高校への支援を拡充する議論が活発化する一方で、公立の専門高校への進学者数減少を懸念する声があることを踏まえ、阿部俊子文科相は2月18日の閣議後会見で、「専門高校は地域産業の発展を支える大変重要な役割を担っている」と述べて、専門高校への支援に一層力を入れる姿勢を示した。文部科学省では現在、専門高校のDX化や専門高校の魅力を紹介する動画を募る取り組みなどを進めており、阿部文科相は「こうした取り組みを通して支援と魅力発信を強力に進めたい」と強調した。
いわゆる高校無償化を巡っては、与野党で私立高校の授業料無償化に向けて所得制限の撤廃や支援金の引き上げなどの協議が進められているが、一方で、農業や工業など公立の専門高校への進学者数が減少するのではないかと懸念する声が上がっている。
こうした状況の受け止めについて阿部文科相は「私立高校の授業料支援の拡充に伴って私立高校の進学を希望する生徒が増加し、多くが公立として設置されている専門高校にも一定の影響があると考えられる」と述べ、専門高校への進学者数が減少する可能性があるとの認識を示した。
その上で専門高校の役割について、「地域産業の発展を支える大変重要な役割を担っていると認識している」と述べ、デジタル分野を支える人材育成強化を図るDXハイスクール事業などを通して専門高校への支援に力を入れていることを強調した。
同省によると、DXハイスクール事業の今年度の対象校約1000校のうち約400校が専門高校で、デジタルや活用したスマート農業や医療・介護のDXに対応した専門教科などが進められている。来年度はさらにこの事業の中に「プロフェッショナル型」を創設し、専門高校と産業界が連携した最先端の職業人材育成に取り組むことにしている。
さらに同省では現在、専門高校の魅力を発信するためのインスタグラムを新たに開設し、専門高校の生徒から学校の魅力を紹介する動画を募集している。阿部文科相は「中学生に進学先の選択肢として認識してもらえるよう、多種多彩な教育活動、生徒の成長について発信したい」と述べ、優秀な動画を文科大臣賞として表彰することにしている。募集期間は5月30日まで(詳細はこちらから)。
阿部文科相はこうした取り組みを紹介した上で、「専門高校への支援と魅力発信を強力に進めたい。地域の産業と伴走する専門高校の重要性をしっかり伝えながら、今後の支援体制も含めて検討している」と述べた。