中教審の初等中等教育分科会と「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」は2月18日、合同で会合を開き、第12期の審議や関連する文部科学省の施策を振り返り、第13期に向けた意見交換を行った。国会での高校教育の無償化の議論を受けて、公立高校と私立高校の役割を再検討すべきとの声が複数の委員から出た。
高校教育の無償化を巡っては、今国会で自民、公明、日本維新の会が協議を重ねている。現在の高校の就学支援金制度では、年収910万円未満の世帯に年間11万8800円が支給されているが、2月17日の衆院予算委員会で石破茂首相は、3党協議で合意できれば、この11万8000円の支援金の支給について、来年度から収入要件を事実撤廃すると表明。来年度予算案の修正に応じる考えを示した。
この動きを踏まえ、岩本悠臨時委員(地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「高校も準義務教育のようになっていく中で、公立と私立のこれからの役割や関係性をどう考えていくのかは、このタイミングで重要なポイントになる」と指摘。
特に離島や中山間地域などのような、私立高校がない地域の公立高校や地域の産業を支えている専門高校の役割を挙げ、公立高校の基盤や条件を私立高校と同等レベルにしていくことや、公立高校と私立高校の連携協働などを論点に、第13期で公立と私立の在り方を議論していくべきだと提案した。
これに対し神野元基臨時委員(東明館中学高校理事長・校長)は私立学校を経営する立場から、私立学校の強みを生かして、学習指導要領の理念や令和の日本型学校教育の姿を実現しようとさまざまなチャレンジをし、地域の公立学校の教員にもその実践を公開していると強調。
「人事異動がない私立という特異な場所だからこそ、合意できれば同じメンバーでずっと走っていける。公立学校よりも、わが国が目指す教育は実現しやすい環境にあると言える。公立学校の先生にとってのショールームになることで、私立学校の存在意義ができるのではないかと考えて取り組んでいる」と説明した。
【キーワード】
高等学校等就学支援金制度 高校教育に必要な費用の家計負担を軽減し、経済的に困難な家庭の子どもであっても高校などで学べる機会を確保するため、世帯の年収に応じて授業料を支援する制度。