高校無償化を巡る国会での議論が大詰めを迎える中、全国の私立高校に通う生徒の保護者や教職員らでつくる「全国私学助成をすすめる会」の院内集会が2月19日、参議院議員会館で開かれた。同会が公立・私立間の格差是正などを求めて半世紀以上にわたって集めた署名は累計5億筆以上に及ぶといい、出席者からは高校無償化の実現が近づいたとして、「歴史的な集会になると思う」「教員の増員なども審議してほしい」などと国会に期待する声が上がった。
同団体は、高校生の学費を巡って公立・私立間や自治体間の格差が広がっているとして、毎年、国の責任で格差是正に向けて私学助成を拡充するよう求める署名活動を続けており、今年度は約228万筆を集めた。集会には21都道府県から保護者や教職員ら約100人と、代理出席も含めて76人の国会議員が参加した。
初めに同会の山口直之共同代表があいさつに立ち、「1971年から半世紀以上にわたって累計で5億9600万筆の署名を届けており、国会で無償化が大きく取り上げられていることにお礼を言いたい。無償化が進んでいる自治体もあるが、結果として自治体間格差が広がっており、生徒数に見合った教員が確保されていないなどの課題もある。国会でしっかり審議してほしい」と国会議員に要請した。
また、出席した与野党の国会議員が一人ずつあいさつし、「学費が高くて親に申し訳ないと高校生に言わせたりすることがないよう、一緒に取り組みましょう」「無償化の前進が実現しそうな局面になっている。人生格差につながる教育格差はあってはならない」「日本はそもそも教育にかける予算が少ない。しっかりと中身のある予算を実現させたい」などと述べた。
最後に参加者を代表して福井県の仁愛女子高校3年の青山渚月美さんが「私立に入学して親に学費の面で申し訳ない気持ちを持っていたが、活動を始めてこれは自分でも親のせいでもなく社会の問題だと捉えられるようになった。全国の高校生とつながる中で、私学に入ったから車を売却したとか、妹や弟が進路を変えないといけなくなったという声を聞いた。家庭の経済格差にかかわらず、受けたい教育を受けられる社会を望んでいる」と訴えた。
集会の後、愛知県から参加した母親は国会で無償化の議論が進んでいることについて、「長年にわたる悲願だったので、わくわくしながら注視している。私たちがしてきた苦労は孫には負わせたくなく、ぜひ実現してほしい」と語った。別の母親は「所得制限撤廃の動きに注目している。所得制限によって親が働き控えをしたり、同じ教室で支援を受ける子と受けられない子がいたりするという状況も生まれたりしており、しっかり進めてほしい」と語った。
同団体が今年度集めた約228万筆の署名は、国会議員を経て政府に提出される。