学校安全の中核担う教職員を位置付け 審議まとめ案を了承

学校安全の中核担う教職員を位置付け 審議まとめ案を了承
審議のまとめ案を大筋で了承した有識者会議の第4回会合=オンラインで取材
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 学校安全の取り組みの強化を検討してきた文部科学省の有識者会議は2月20日、第4回会合を開き、学校安全の中核を担う教職員を位置付け、校内の組織体制を強化する方針などを打ち出した審議のまとめ案について、大筋で了承された。中核を担う教職員は、近く法改正が行われ新設される予定の「主務教諭」の積極的な活用を検討すべきだとした。

 前回会合での素案の議論を反映し、この日示された審議のまとめ案では、持続的、実効的な学校安全に向けて、有識者会議のメッセージを打ち出すため、冒頭に「はじめに」を新設。国、教育委員会や学校法人などの学校設置者、各学校がそれぞれ、どのような取り組みを責任を持って実施するのかが明確になるように全体を整理した。

 その上で審議のまとめ案では、学校安全を学校経営方針の柱に位置付け、組織として適切な役割分担を行い、家庭や地域、関係機関と連携しながら児童生徒の安全を最優先に考える「安全文化」の醸成が必要だと強調。管理職が学校安全の各領域や地域連携などの全ての調整を行うのは困難であることから、学校安全の取り組みを組織的かつ実効的、継続的に推進するため、学校安全の中核を担う教職員を校務分掌に位置付けるべきだと提言した。

 中核を担う教職員は、学校安全計画・危機管理マニュアルの策定・見直し、学校安全の校内研修の企画・実施や学校安全に関する外部機関との連絡調整の窓口などの役割が期待されており、その業務内容から、一定程度の幅広い業務経験や学校運営への関与経験のある人材を充てることが望ましいとされた。

 昨年8月の中教審答申を踏まえ、学校内外の連携などを担う「主務教諭」を創設する法改正が予定されている。中核を担う教職員については、こうした動きを捉えながら、各教育委員会は学校安全の組織的な取り組みが最大の効果を上げられるように、「主務教諭」の積極的な活用を検討すべきだとした。

 この日の議論を基にした審議のまとめ案の修正は渡邉正樹座長(東京学芸大学名誉教授)に一任され、大筋で了承された。

 取りまとめに向けて渡邉座長は「この審議まとめが学校設置者や各学校における組織的な学校安全の推進に生かされ、安全安心な学校づくりにつながっていくことを願っている」と述べた。

 有識者会議の議論を踏まえ、文科省では2025年度以降、管理職や中核を担う教職員向けの研修を充実。「主務教諭」の制度の活用についても、今後の動きを踏まえて必要な情報発信をしていく方針。

 また、今後の取り組みに関する意見交換の場では、標準授業時数を大幅に超過している学校で余剰時間の見直しが進められているため、安全教育の時間の確保が難しくなっているという指摘も出た。

 これに対し渡邉座長は「大変重要なことだ。ちょうど次の学習指導要領の検討が始まった時期なので、安全教育の時間が学校教育全体の中で果たしてどのような位置付けになるかも、国の方で検討してほしい」と応じた。

 

【キーワード】

学校安全 災害対策、授業・登下校中の事故や事件など、学校での子どもの安全確保に関する教育や対策を指す。各学校には、学校安全計画や危機管理マニュアルの策定が義務付けられており、警察や消防、保護者、地域との連携による取り組みなどが求められている。

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