大学入試で複数の大学を受験し、合格した際に、入学しない大学にも入学金を納めなければいけない入学金の二重払いについて、阿部俊子文科相は2月25日の閣議後会見で、各大学に対して、入学金をはじめとした学生納付金の金額の抑制、分割納入などを可能にするような取り組みを積極的に行っていくなど、柔軟な配慮を促していきたいと述べた。入らない大学への入学金の支払いは受験生や保護者の負担になっているという指摘がある。
入学金の二重払いを巡っては、1月に任意団体の「入学金調査プロジェクト」が公表した大学生へのアンケートで、87.7%が問題視。入学金の二重払いを実際に経験した学生が27.0%を占めることが浮かび上がった。複数回答の質問で、入学するか分からない段階で入学金を払う可能性のある入試方法を選択肢から外したと答えた学生も13.6%いた。
同プロジェクトはこうした二重払いが生じてしまう仕組みについて、受験生に対して経済的負担を強いるものだと批判している。
一方で、3月31日までに私立大学などの入学を辞退した場合の学生納付金については、2006年11月27日の最高裁判決で、授業料・施設設備費は原則として返還義務があるとした半面、入学金は不相当に高額などでない限り、学生がその大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を持つものであると整理。大学は返還義務を負わないとしている。
阿部文科相はこの最高裁判決を踏まえた上で「文部科学省としては、学生の負担軽減を図るために、各大学に対して、入学料をはじめとした学生の納付金について、額の抑制、また、分割納入などの措置を積極的に講ずるよう要請している」と説明。「引き続き、入学料をはじめとした学生納付金に関する柔軟な配慮をしっかりと促していきたい」と話した。
文科省では、23年の通知「経済的理由により修学困難な学生等に対する支援策の周知等について」などで、経済的に厳しい世帯の学生がいることを踏まえ、各大学で入学料などの初年度納付金や授業料の納付が困難な学生に対し、納付時期の猶予、分納、免除、減免などの弾力的な取り扱いや配慮をするよう求めている。
同省の調査によると、私立大学に入学した学生の入学金は近年減少傾向にある。それでも、23年度に入学した学生の入学金は、平均で24万806円となっている。
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学生納付金 私立大学などで、学生が入学して卒業するまでに受ける教育活動に関するさまざまな経費に充てられる費用として、徴収されるもの。入学金や授業料、施設設備費、実験実習料などがある。