高校無償化に向けて自民、公明、日本維新の会の3党が2月25日に合意文書を交わしたことを受けて、阿部俊子文科相は同28日の閣議後会見で、「実現に向けて3党をはじめとする関係者の意見もよく聴いて取り組む」と述べ、合意内容に沿って高校無償化を進める姿勢を示した。また、高校無償化に伴う私立高校への支援拡充で、授業料の便乗値上げを懸念する声があることについては、「合理性のない授業料の値上げが行われないようにする観点にも留意する必要がある」と述べ、動向を注視する考えを示した。
高校無償化を巡る3党の合意文書では、今年4月から所得制限をなくして国公私立を問わず、高校生のいる世帯に年間11万8000円の就学支援金を支給し、2026年度からは私立高校の支援金も所得制限を撤廃した上で、上限額を年間39万6000円から45万7000円に引き上げることを明示した。さらに農業や工業など専門高校への施設整備や、26年度からの小学校の給食無償化なども盛り込まれた。
これについて阿部文科相は会見で、「(3党合意は)全ての若い世代に多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的事情による教育格差を是正し子育て世代への支援を強化する観点から、高校無償化をはじめとして給食無償化などの改革を実現するとされている」と述べた上で、「合意内容の実現に向けて、3党をはじめとする関係者の意見もよく聴きながら取り組んでいく」と述べ、高校無償化を進める姿勢を示した。
一方、26年度からの私立高校への支援拡充に伴い、公立高校への進学者の減少や私立高校の授業料の便乗値上げが懸念されることについては、「進学者数が減少する可能性など、公立高校への一定の影響があるものと考えている」と述べるとともに、「私立高校の建学の精神にもとづく自主性の尊重に留意する一方で、各学校で合理性のない授業料の値上げが行われないようにする観点にも留意する必要があると考えている」と述べ、授業料の動向を注視する考えを示した。
さらに3党の合意文書で、低中所得層に教材費などを支援する奨学給付金の拡充や公立高校への支援拡充が盛り込まれていることに触れて、「高校教育全体にとって意義のあるものになるよう、今年度から(高校無償化の)取り組みを開始した大阪と東京都の先行事例の成果や課題も踏まえながら、具体的に検討したい」と述べ、修学支援金以外の支援策の充実も図る考えを示した。