小中学生がプログラミングを学んでいる全国5カ所の拠点をオンラインでつなぎ、ゲームを楽しんだり、作品を発表したりする「遠く離れた5エリアの子どもたちがつながる!オンライン交流イベント」が、このほど開かれた。参加したのは、北海道安平(あびら)町、秋田県五城目(ごじょうめ)町、福井県あわら市、高知県須崎市、島根県雲南市の小中学生。イベントの中で「私とまち」をテーマにしたプログラミング作品の発表があり、それぞれの地域を紹介する作品に意外性や想像力に富んだ子どもたちの視点が盛り込まれていた。
オンラインイベントはプログラミング教育の推進に取り組むNPO法人「みんなのコード」が開催。作品発表会では参加者が建築ゲーム「マインクラフト」やプログラミング、デジタルイラストを使って作り上げた作品10点が発表された。
安平町「デジタルスクール」からは小中学生6人が作品を発表。15歳の男子生徒がマインクラフトで作った「安平の魅力てんこ盛り!β1.0」は町内の道の駅や観光名所を盛り込み、「安平町を知らない人や来たことがない人にワールド(マインクラフトで作られた3Dデータ)で体験してもらいたい」と話し、道の駅にトロッコ列車の鉄道を環状線で走らせているワールドを披露。道の駅の建物を細かく作り込んでいるが、「β1.0」と名付けたように、さらに進化を目指すという。
また、10歳の女子児童はSL(蒸気機関車)を擬人化した「追分湊(おいわけ・みなと)」というキャラクターをデジタルイラストで制作。同町追分地区は鉄道の要衝として栄え、1975年に国鉄のD51形(デゴイチ)が引退した「SLラストランの地」であり、これをアピールするため、2019年に道の駅あびらD51ステーションが開業している。こうした地域の特性を踏まえながらネーミングを考え、ごつごつしたイメージのD51をあえて、かわいらしいキャラクターに変換する発想で制作に取り組んだという。
その他の4カ所の拠点施設からは一人ずつ作品を発表。
雲南市「ピコテラス」の12歳の男子児童はプログラミングで開発した「神楽音ゲーム」を発表した。動く音符をタイミングよくたたくと、アニメーションの太鼓のばちが動いて音を鳴らすゲームだ。太鼓の人気ゲームをイメージ。伝統文化の神楽をモチーフにしており、「神楽のリズムを再現するのが大変だった」という苦心の作品だ。
須崎市「てくテックすさき」の13歳の男子生徒は、高知県名物「カツオのたたき」から着想を得て「湖上のタタキ型キャンプ場」をマインクラフトで制作。たたき3切れをイメージして、湖上に浮くテントを居住スペース、浴室、倉庫としている。本人は欠席したためスタッフが「カツオそのままでなく、タタキをモチーフにしたのがこだわり。2、3週間、真剣に取り組んでいる姿を見ていた」と説明。景色も細部まで作り込んでいるという。
これらの作品はメタバース空間での展覧会でも展示。イベントでは作品発表のほか、ご当地クイズ大会、各地のキーワードをランダムに書き込む「まち紹介ビンゴ大会」があり、参加者たちが交流を楽しんだ。