部活動の地域移行 指導者の「資格の義務化」が低調

部活動の地域移行 指導者の「資格の義務化」が低調
加盟33団体が参加したJSPOミーティング=撮影:徳住亜希
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 部活動の地域移行に伴い指導者の質の担保が課題となる中、指導にあたり「公認スポーツ指導者資格」を義務付けている団体は6.1~26.5%にとどまることが3月6日、日本スポーツ協会(JSPO)の調査で明らかになった。義務付けの状況は活動内容によって差があり、「調査団体が主催の大会(全国大会レベル)」は26.5%で最も高く、「都道府県競技団体が主催の大会」は6.1%と低調だった。JSPOでは地域移行の受け皿となる総合型地域スポーツクラブの信頼性を高めるため、認証制度の導入を2025年度に始めるとしている。

 調査は24年11~12月にかけて、JSPO加盟・準加盟の68団体を対象にオンラインで実施し、49団体から有効回答を得た。結果は同日、運動部活動改革に向けたJSPO加盟団体のミーティングで発表された。

 調査結果によれば、指導者に対しJSPO公認のスポーツ指導者資格を義務付けている団体は「回答した団体が主催する大会」(全国大会レベル)で26.5%と最も高く、次いで「日頃の練習や日常の活動」が12.2%、「都道府県競技団体が主催の大会」は6.1%だった。内訳を見ると「全国大会出場チームのコーチを有資格者に義務化している」「強化チームの監督やコーチ、トレーナーになるには資格所有を条件としている」など、大会の種類や活動内容に応じて資格を義務付ける団体が目立った。

 指導者の資格義務付けを妨げる要因として、「規約で定めていない」「資格制度の整備ができていない」など環境整備の不足を理由に挙げる団体が多かった。「独自の資格制度があるため義務付けていない」との回答がある一方、「(有資格者である)コーチの必要性が浸透していない」「義務付ける体制になく、その必要性も生じていない」とする意見もあり、指導の在り方を巡って各団体の認識に差が生じている実情も浮き彫りになった。

 部活動改革に向けた活動の強化・普及にあたっては、取り組みの計画変更を57.1%が「検討中」と回答。「変更済み」「変更予定」とする団体は合わせて22.5%だった。具体的には「指導者確保のため社会体育指導員などの名簿を人材バンクとして設置。JSPOと各教委に周知し、活用を促すよう要請した」「全国体制で指導者へのコーチング研修を強化」などの回答があった。

 さらにJSPOでは、地域移行の受け皿となる総合型地域スポーツクラブを対象に、25年度より独自の認証制度を開始すると発表。質の向上を図るとともに、行政や地域に対し、連携先としての安心感や信頼感の醸成を図ることが狙い。地域スポーツの環境整備や要介護率の低下など、地域課題の解決促進にもつながるとしている。

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