学校現場での個人情報の保護や情報セキュリティーの徹底がより一層求められる中、文部科学省は教育データを利活用する際のポイントをまとめた「留意事項」の改訂案について、3月11日までパブリックコメントを実施している。これまでこの「留意事項」は公立学校で利用されることを想定していたが、新たに国立、私立学校でも参考になるよう、国立、私立学校に関連する個人情報保護法の条文を整理した早見表を加えた。
「留意事項」は教育委員会や学校で児童生徒の教育データの利活用が進む中で、個人情報の保護や情報セキュリティーの確保に向けて、教職員が気を付けなければいけない事柄を▽総論▽手順▽事例▽Q&A――の4編に分けて解説している。
パブリックコメントを募集している第3版では、教育活動の中でデジタル教材などを活用する際に取得される児童生徒の個人情報について、民間事業者に委託されることが一般的になっていることから、個人情報の取り扱い業務を外部委託する際の基本的な対応として、契約書に明記すべき内容などの記載を詳しくした。
事例編では、新たに児童生徒の心の健康観察におけるツールの導入や、熱中症リスクを減らすためのウェアラブル端末の利用、体育の授業での動作解析ツールの利用などを想定した取り扱いを追加した。
「留意事項」は公立学校の教職員や教育委員会の職員が利用することを想定しており、国立、私立学校が参考にする際は、個人情報保護法などの規定が異なっている場合があった。そこで第3版では、国立、私立学校が留意すべき個人情報保護法の条文の早見表を別添として加え、留意事項で参考となる記載を整理するなどの改善を行った。
改訂案の内容はe-Govのウェブサイトから確認できる。
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教育データ 学校でのICT利活用が進み、児童生徒の学習履歴や出欠席の記録など、さまざまなデータを活用し、個別最適な学びの提供や授業改善、教育施策への反映などに生かすことが期待されている。一方で、こうした教育データは個人情報に当たる場合も多く、取り扱いには注意を払う必要もある。