阿部俊子文科相は3月7日の閣議後会見で、同4日に衆議院で可決された来年度予算案の修正の中で、公立高校への支援拡充の先行措置として、農業や工業などの専門高校の実験実習施設の整備のため10億円を増額したことを明らかにした。その上で2026年度以降について、「専門高校を含む公立高校などへの支援の拡充について、具体的な検討を行う」と述べて本格的な支援策を進める考えを示した。
来年度予算案を巡っては、自民党と公明党、日本維新の会の3党合意を受けて、高校授業料の無償化については1064億円が増額修正され、衆議院で可決された。これにより高校の就学支援金は今年4月から所得制限がなくなり、国公私立を問わず高校生のいる全ての世帯に年間11万8800円が支給される。
文部科学省によると、今回の予算増額により新たに約87万人が支給対象になる見通し。3党合意ではさらに26年度から、私立高校への支援金について所得制限をなくした上で上限額を現行の39万6000円から45万7000円に引き上げることが盛り込まれており、私立高校への進学者増加で公立高校への志願者数が減る「公立離れ」が懸念されている。
阿部文科相はこれに関連して、公立高校などへの支援拡充の先行措置として、来年度予算案修正の中で、産業教育のための実験実習施設の整備へ10億円を盛り込んだことを明らかにした。具体的な補助対象施設としては、農業高校の牛舎や温室、工業高校や商業高校の実習室などが挙げられるという。
阿部文科相は、「26年度以降については3党の合意内容を踏まえた上で、専門高校を含む公立高校などへの支援の拡充について具体的な検討を行っていく」と述べ、公立高校への本格的な支援策を進める考えを示した。