国連が定めた3月8日の国際女性デーを前に、ユニセフ(国連児童基金)は同7日、10代の女子の権利に関する報告書を公表した。過去30年間の女子を取り巻く生活環境の変化について検証した結果、世界では1億2200万人の女子が学校に通っていない不就学の状況にあり、性暴力や虐待、児童婚などのリスクにも依然さらされていると指摘。格差を解消し、女子の持つ潜在能力を引き出すため「世界的な行動が緊急に必要」と警鐘を鳴らした。
報告書では、1995年に日本を含む189カ国が採択した女性の人権に関する国際文書「北京行動綱領」から現在に至るまでの30年間に、10代の女子を取り巻く生活環境がどう変化したのか、その推移と変化の実情を検証している。
それによれば2023年時点で、世界で1億2200万人の女子が学校に通っていないと指摘。2000年に比べ39%減少したものの改善状況は鈍化しており、今なお読み書きのできない15~24歳の女性は約5000万人に上るという。
加えて15~24歳の女性のうち、39%が日本の高校にあたる後期中等教育を修了しておらず、とりわけ農村部の貧困家庭や社会的に阻害されたコミュニティーに属する女性ほど修了する可能性が低かった。その理由として、若年女性は無給労働や結婚、出産のために教育を中断せざるを得ないことが多いためと分析している。
これらの状況を受け、ユニセフは報告書で「世界的レベルでの早急な行動が必要だ」として、「女子教育の禁止や制限」「スキル向上における格差」などの問題解消に向け、重点的に取り組むべきだと提唱した。
また、国際女性デーを踏まえ三原じゅん子こども政策担当相は3月7日の会見で、「若者女性の機会が守られる社会の実現に向け、第6次男女共同参画基本計画の議論をしっかりと深めたい」と述べ、その上で「女性に選ばれ、女性が活躍できる地域作りに向け関連法案を今国会に提出し、成立に向けて力を尽くしたい」と述べた。