大阪府の公立高校の約半数が定員割れ 吉村知事「いずれ来る道」

大阪府の公立高校の約半数が定員割れ 吉村知事「いずれ来る道」
iStock.com/SakuraIkkyo
【協賛企画】
広 告

 大阪府の2025年度公立高校一般入試で、全日制の平均倍率が1.02倍と過去最低となり、約半数の65校で定員割れとなったことが、3月7日の同教委の発表で明らかとなった。今年度からスタートした私立高校の授業料無償化の影響も指摘される中、吉村洋文府知事は3月10日、記者団に対し、「少子化が進む中で定員割れはいずれ来る道だ。子どもたちが行きたい学校に行ける選択肢を保ちつつ高校の再編整備をしながらより教育の質を高める方向を目指したい」と語った。

 同教委が公表した25年度の公立高校一般選抜(全日制)の志願者数まとめによると、公立高校の志願者数は約3万4000人で、平均倍率は1.02倍だった。これは今の選抜制度になった2018年度以降で最も低いという。また、公立高校128校のうち65校が定員割れとなった。この中には、寝屋川高校や八尾高校といった人気校も含まれている。同教委によると、両校は23年度入試で多くの不合格者を出したことから24年度入試で定員を増やし、25年度も同じ定員を維持していたという。

 公立高校の志願者数は前年度から2000人程度減っており、同教委はこの理由について、「少子化の影響や授業料無償化で私立高校の専願者が増えたこと、通信制の高校を選択する生徒が増えたことが影響したと考えられる」としている。

 高校無償化を巡っては、自民、公明、日本維新の会の3党合意により、来年4月から私立高校の生徒がいる世帯に対して所得制限を撤廃した上で就学支援金を上限45万7000円まで支給することが決まっており、全国的に「公立離れ」を懸念する声が高まっている。大阪府は先行して今年度から段階的に私立高校無償化を進めており、動向が注目されている。

 これについて吉村知事は10日、記者団に対し、「生徒から見れば選択肢が増えて諦めなくていい社会になってきたと思う」と肯定的な見方を示した上で、「子どもの数は私が高校の時と比べて半分以下になっており、定員割れはいずれ来る道だ。子どもたちの選択肢を保ちつつ教育の質を高める方向を目指したい」と強調した。さらに今後の教育施策に向けて、「公立高校にもっと投資をすべきと考えている。高校自体もより選ばれる高校になるよう教育の質を高めることが重要であり、再編をしながら進めていきたい」と述べた。

広 告
広 告