小学生の放課後の過ごし方も、家庭の経済力の影響を受けている可能性が、放課後子供教室などを運営する「放課後NPOアフタースクール」の行った、小学生の子どもがいる共働き家庭への調査でこのほど浮かび上がった。年収300万円未満の家庭の子どもは友達と遊ぶ機会や遊ぶ場所のバリエーションが少なかった。調査を行った担当者は「習い事の機会などが体験格差として指摘されてきたが、遊びについても影響している」と話す。
調査は1月17~18日に、全国の小学生の子どもがいる共働きの男女1200人にインターネットで行った。子どもの放課後の過ごし方をみると、42.2%が学童保育を利用していたが、小学校の低学年は約6割なのに対し、高学年は2割台だった。
自宅で留守番をしている小学生も48.2%おり、そのうち13.6%が週4回以上だった。高学年になるほど頻度が高くなる傾向にある。自宅で留守番をする際の過ごし方を複数回答で尋ねると、最も多かったのは「テレビ・動画視聴」(82.2%)で、次いで「ゲーム」(69.1%)や「宿題・学習」(64.4%)、「本・漫画」(43.0%)が続いた。
この自宅で留守番する際の過ごし方を家庭の年収別でみると、300万円未満では「スポーツ」や「楽器・音楽・歌」の回答がなく、「ゲーム」や「お絵描き・工作」「本・漫画」「何もしない・ゆっくり休む」といった項目も、300万円以上の年収の家庭と比べて割合が少なかった。
また、友達と遊ぶ頻度を尋ねた質問をみると、52.1%が週に1回未満(「月1~3回」16.3%、「なし」35.8%)と答えていたが、年収300万円未満では「なし」が52.3%と顕著に高かった(=グラフ)。友達と遊ぶ場所は公園や自宅・友達の家、学校などが挙がったが、年収300万円未満の場合、児童館、図書館などの公共施設、学校で遊ぶ割合が他と比べて少なかった。
習い事についても、全体でみると61.6%が習い事をしていたが、年収300万円未満では「なし」が69.2%に上った。
調査を担当した放課後NPOアフタースクールの佐々木彩夏さんは「これまで、習い事の機会などが体験格差として指摘されてきたが、遊びについても影響していることが明らかとなった。習い事や子どもが特別な体験をする機会の体験格差が注目されがちだが、子どもが自由に過ごす時間の中にもさまざまな体験がある。放課後の課題としてこの点は重要だ」と強調している。
【キーワード】
体験格差 教育格差の一つで、家庭の経済力や住んでいる地域などの要因によって、子どもの学校外での体験の機会に差が生じること。「体験」には、やりたい習い事や部活動ができるかや、旅行の経験、遊び、自然や多様な人との関わりなど、さまざまなものが含まれる。