部活動の地域移行 地域文化芸術WGが「最終まとめ案」を大筋で了承

部活動の地域移行 地域文化芸術WGが「最終まとめ案」を大筋で了承
地域文化芸術活動WGとしては最後となった6回目会合には11人の委員全員が参加=撮影:徳住亜希
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 文化庁は3月18日、「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」にひも付けられた「地域文化芸術活動ワーキンググループ」(主査:北山敦康静岡大学名誉教授)を文部科学省とオンラインのハイブリッド形式で開き、「最終とりまとめ」の素案について協議した。昨年12月に公表された「中間とりまとめ」の内容に加え、地域クラブの運用にあたり「国が定義・要件等を示した上で、地方公共団体において認定を行う」と明記したほか、基本理念として障害のある子どもを含め「多様な子どもが希望に応じて安心して活動に参加できる環境を整備」などの文言が追加された。今後、各委員から出された意見を踏まえ修正を加えた後、4月に開催予定の実行会議でさらに審議が継続される。

 部活動の地域移行に関し2026年度以降の取り組みの方向性を示す「最終とりまとめ」の素案では、地域クラブ活動の認定方法を「国が定義・要件等を示した上で、地方公共団体において認定を行う」とし、国や自治体の責任と役割を明確化。また、障害のある子どもや運動が苦手な子どもなど、「多様な子どもが希望に応じて安心して活動に参加できる環境を整備することが重要」と強調する文言が改革の基本理念に加えられた。

 学習指導要領での部活動の取り扱いに関しては、次期改訂に合わせ「地域クラブ活動の普及・定着を前提とした記載」にするとしながらも、地域移行が困難な学校に対し「教職員等の負担軽減の視点から一定の記載を行うことが考えられる」との文言が新たに加えられた。次期学習指導要領での記載内容については、部活動改革の方向性を踏まえた上で「スポーツ庁および文化庁でさらなる検討・具体化を進めた上で、中教審に報告されることが期待される」とした。また、指導者の質の保障・量の確保を巡って「教職員の兼職兼業が事実上の強制とならないような配慮」を促したほか、「中学生世代の特徴等を踏まえた指導の在り方」の重要性を追記、その上で保護者対応も含めた研修の実施が提言された。

 こうした素案の内容に対し、各委員からは「WGでの協議が反映され、多種多様な課題に踏み込んで対応している」との声が上がった。池上潤子委員(静岡県教育委員会義務教育課指導監)は地域移行での自治体間格差について触れ、「素案に掲載された自治体の取り組み事例はかなり参考になり、効果的だ」と指摘。木村博明委員(富山県朝日町教育委員会教育長)は「当事者である生徒の視点による制度設計のもと、国などの公的支援を明記し、さらに国が先頭に立ち関係者に周知広報することも示した内容になっている」と評価した。星弘敏委員(全日本吹奏楽連盟常任理事)は25年度までの部活動改革について「働き方改革の理念が中心だった」とした上で、「今回は子ども中心の改革であることが明確になった」と述べた。

 一方、大坪圭輔委員(武蔵野美術大学名誉教授)は「学校の働き方改革に関しては『後退したのではないか』との意見も聞こえてくる」とした上で、「部活動改革を円滑に進めるには教員の力を拝借するという視点が重要。学習指導要領改訂に向け、中教審では実行会議のとりまとめを参考に議論を尽くしてほしい」と強調した。

 部活動改革を巡っては、文科省が23~25年度までの3年間を「改革推進期間」に位置付け、主に公立中学校の休日の部活動について地域移行を進めてきた。実行会議ではスポーツ・文化芸術の各WGで、26年度から6年間の「改革実行期間」の方針や取り組みに関し有識者による議論を重ねてきた。今後、同庁・スポーツ庁は4~5月にかけて実行会議を開き、春ごろをめどに最終的な提言をまとめる見込みだ。

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