トランプ米大統領 教育省廃止に向け大統領令に署名

トランプ米大統領 教育省廃止に向け大統領令に署名
iStock.com/Pgiam
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 ドナルド・トランプ米大統領は3月20日(日本時間3月21日)、教育省の廃止に向け、予算や業務の権限を各州に移行するよう命じる大統領令に署名した。トランプ氏は同日、署名式典で演説し、「米国の教育費は他国をはるかに上回るが、成果という点では最下位に近い」と述べ、その上で同省について「あらゆる法的措置を講じ、可能な限り速やかに閉鎖する」と強調した。保守層を支持基盤とするトランプ氏は、教育省がリベラル思想の温床になっていると批判、同省の廃止を選挙公約に掲げていた。

 大統領令でトランプ氏は「米国の読解力と数学の成績は、歴史的な低水準に近い」とし、その理由を「連邦政府の教育官僚が機能していない」からだとして、教育省を「期待を明らかに裏切ってきた」と批判。教育省が担う学生ローン事業についても、債務残高が1兆6000億ドル(約238兆円)に上るとし、「銀行に機能を戻さなければならない」としている。

 さらにトランプ氏は同日、ホワイトハウスで開いた署名式典で「教育省は何の役にも立たない」と述べ、無駄な支出を削減し、予算や権限を各州に戻すことで「教育は何倍もよくなるだろう」と主張した。

 すでにトランプ政権では同省廃止に向けた動きを進めており、12日には1300人以上の同省職員を解雇する大規模な人員整理に着手。これに対し全米20州とワシントンDCの司法長官が「同省の機能に支障を来す」として、同省廃止と解雇の停止を求め提訴している。

 ただし、教育省を完全に廃止するには連邦議会の承認が欠かせない。重要法案の可決には上院(定数100)で60人の賛成が必要とされ、民主党の賛成も取り付ける必要があることから、実現の見通しは不透明だ。そのため今回の大統領令により、学生ローン事業の廃止や予算削減といった大幅な組織縮小を行い、同省の事実上の解体を進める考えとみられている。

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