学びの多様化学校拡大へ 文科相「マイスター派遣でさらに促進」

学びの多様化学校拡大へ 文科相「マイスター派遣でさらに促進」
学びの多様化学校の設置促進に向けた考えを述べる阿部文科相=撮影:山田博史
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 不登校の児童生徒を受け入れる学びの多様化学校の設置促進に向けて、阿部俊子文科相は3月25日の閣議後会見で、「不登校児童生徒の多様な学びの確保の観点から重要と考えている。設置運営について豊富な知識を持つ『学びの多様化学校マイスター』を教育委員会に派遣する取り組みなどを通して、さらに自治体を支援したい」と述べ、マイスター派遣を中心に自治体への支援を強化する姿勢を示した。

 学びの多様化学校は、2005年に「不登校特例校」として制度化され、児童生徒の実態に配慮して始業時間を遅らせたり、自然環境など地域の特色に応じたカリキュラムを設けたりと柔軟に教育課程を編成することが認められている。不登校の児童生徒が増え続ける中、全国各地で設置が進み、昨年4月に過去最多の11校が開校したのに続き、今年4月にはその2倍以上の23校が開校し、23都道府県で58校に上る見通しとなっている。

 一方で、文部科学省は27年度までに学びの多様化学校を全ての都道府県と政令市に少なくとも1校以上設置することを目指しているものの、現時点での設置は67都道府県・政令市のうち29都道府県・政令市にとどまっている。財政事情や制度・運営への知識不足などの課題から検討が進まないケースもあり、地方へのさらなる支援を求める声も上がっている。

 こうした状況も踏まえて阿部文科相は会見で、改めて学びの多様化学校について、「不登校児童生徒の多様な学びの確保の観点からその設置をさらに促進することは重要と考えている」と述べ、来年度も設置促進への取り組みを強化する姿勢を示した。具体的には事前リサーチなど設置準備にかかる2年間と、設置後2年間の運営を支援する補助制度に加えて、運営や児童生徒支援について豊富な知識を持つ「学びの多様化学校マイスター」派遣を挙げ、「例えば24年度に各自治体などにマイスターを派遣した回数が30回に上るなど、現在も自治体から相談をいただいている。文科省としては引き続き学びの多様化学校の設置促進を含めて、誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策に取り組んでいきたい」と述べ、学びの多様化学校の拡大に力を入れる考えを示した。

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