自殺対策巡り高校生と意見交換 三原担当相、SC増員にも意欲

自殺対策巡り高校生と意見交換 三原担当相、SC増員にも意欲
中高生の自殺対策について意見交換した高校生と三原担当相=撮影:水野拓昌
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 小中高生の自殺が年間500人を超える状況を改善するため、国の自殺対策の一環として今年1月に開かれたワークショップに参加した高校生4人が3月24日、東京・霞が関のこども家庭庁を訪れ、三原じゅん子こども政策担当相と意見交換した。生徒たちは「悩みを友達や他の人に相談することが重要だと思った」「その人に合った対応の仕方を探りたい」などと、ワークショップを通じて友達の悩みに寄り添うことを学んだといい、三原担当相は「悩みはあってもなくても普通。誰に相談してもいい」と、悩みを一人で抱え込まないよう呼び掛け、また、スクールカウンセラー増員の必要性にも言及した。

 こども家庭庁を訪れたのは長野市の長野日本大学高校1年の男女4人。同庁が1月17日、「こどもの自殺対策の推進に向けたデジタル広報啓発事業」の一環として、初めて高校生を対象にした「深い悩みを持った友人への寄り添い方を学ぶワークショップ」を同校で開き、探究創造学科1年生34人が参加した。

 ワークショップ前半はNPO法人「第3の家族」の奥村春香代表とNPO法人「Light Ring.」の石井綾華代表理事から、子どもが持つ深刻な悩みの現状や友人を支えるコミュニケーション方法について講義があり、後半はグループに分かれてカードゲームを使った討議を進めた。

 三原担当相と意見交換をした飯田太樹さんは「これまで他人の悩みを聞くことはあまりなかったが、ワークショップで経験ができた。相手の思いを考えるのは難しいと思った」と話し、小山紗枝里(さえり)さんは「ワークショップのカードゲームでは実践的に相手が悩んでいる時、どう対応したらいいのか実践的に学べた。相手の話を聞くだけでも支えになると分かった」と振り返った。

 添谷芳久校長は「このワークショップは教育効果を検証する価値のあるものだと思った」と手応えを示し、今後、総合的な探究の時間やロングホームルームなどで全校に広げていくことや、小中学校での活用を検討していく意向を示した。

 三原担当相は「ワークショップを通じて友達の悩みに寄り添うことや、他人に相談してもいいということを高校生たちに感じてもらえた。そこから信頼できる大人に相談するようになってほしいし、私たちもそういう(頼りになる)大人でありたい」と述べた。また、「子どもたちの変化を気付いてもらえるスクールカウンセラーがどの学校にもいるという状況になれば、違ってくる。そのためにこども家庭庁ができることを考えたい」と、スクールカウンセラー増員への意欲を示した。

 小中高校生の自殺者数は2022年以降、年間500人を超えている。24年は暫定値で前年比14人増の527人(小学生15人、中学生163人、高校生349人)となり、過去最悪を更新した。全世代では減少傾向だが、子どもの自殺は高止まりという状態。こども家庭庁は、このワークショップを全国に広げるなど対策の充実を図っている。

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