全国初「性的ディープフェイク」規制 鳥取県議会が条例改正へ

全国初「性的ディープフェイク」規制 鳥取県議会が条例改正へ
iStock.com/Phimprapha Kitaiamphaisan
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 子どもの顔写真などを悪用し、人工知能(AI)で性的な画像などに加工する「性的ディープフェイク」を禁止する鳥取県青少年健全育成条例の改正案がこのほど、県議会で可決された。性的ディープフェイクの規制に関しては国内でも議論されているが、明確に規制した条例改正は全国初とみられる。県議会は全会一致で可決し、施行は4月1日から。

 県家庭支援課によると、改正された条例では、県内居住や通学通勤の18歳未満の子どもの顔写真を使って、生成AIの技術などで加工・合成した精巧な偽画像、動画「ディープフェイク」も規制対象となる「児童ポルノ」に含まれると規定している。また、県内の子どもが被害者となる性的な画像、動画は県外での作成、製造、提供も禁止される。

 児童を対象とした性的画像や動画の被害はCSAM(シーサム、児童性的虐待コンテンツ)と呼ばれ、その中でも生成AIの普及で「ディープフェイク」の被害も広がってきた。本物と酷似したわいせつ画像や動画が作成できるサイトも登場し、卒業アルバムの写真などが悪用され、誰でも被害に遭う可能性があり、今後も被害の拡大が懸念される。

 生成AIによるCSAM被害の問題を指摘している有識者会議「CSAMをなくすワーキンググループ」の事務局を務めるNPO法人チャイルド・ファンド・ジャパンの武田勝彦事務局長は「海外ではディープフェイクを規制している国も多いが、日本の現行法制度では規制できないのが実情。鳥取県の条例改正での規制は調べた限りでは他になく、国内初となる。県内の子どもを対象としたものは他県で作成されても処罰の対象となるのは大事な点だ」と指摘している。

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