北海道、「こども基本条例」を制定 中高生の意見も盛り込む

北海道、「こども基本条例」を制定 中高生の意見も盛り込む
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 北海道で4月1日、子どもの権利を守る理念や施策について掲げた「道こども基本条例」が施行された。条例ではこども基本法などを踏まえ、差別禁止や意見表明といった子どもの権利擁護を中心に、子どもに関する総合的な体制整備を明記。居場所づくりに取り組み、相談機関の周知に努めることも定めた。道・保健福祉部子ども政策企画課の担当者は「今後は条例の理解啓発に向けブックレットを作成し、学校現場にも周知していく」としている。

 条例は「将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現に寄与することを目的」とし、同法や子どもの権利条約を念頭に、差別的扱いの禁止や個人としての尊重といった権利擁護を柱に据えたもの。年齢・発達に応じた社会参画の尊重のほか、子ども政策について子ども自身が意見を表明したり、それを政策に反映させたりする方針を掲げている。また、居場所づくりの環境整備を行い、相談機関の周知に努めることも盛り込んだ。関連政策は知事の付属機関「道こども施策審議会」で議論するとしている。

 条例制定に先立ち昨年11~12月、道が公募したパブリックコメントには、中高生を中心に34人の子どもたちが意見を寄せた。「差別されないこと」「子どもの意見を聞くこと」を重視する声が多く、前出の担当者は「『大事に育てられ、守られる』という理念に関する考えや、居場所づくりへの意見が条例に反映された」と述べた。

 一方、一般によるパブリックコメントでは、いじめや虐待などの相談・救済を行う第三者機関の設置を求める要望が集中。これらの権利侵害について行政から独立した機関が担うべきとする意見が多く、全体のおよそ3分の1を占める139件に上った。

 前出の担当者は「相談機関については国が調査中であるため、その結果を踏まえ他県の取り組みや各相談救済機関との役割分担について情報を収集し、権利擁護の在り方を審議会などの場で引き続き議論していく」と説明した。

 子どもの権利に関する条例制定の動きは2023年の同法施行以来、全国で活発化。現在も富山県、東京都文京区、長野市などの各自治体で制定に向け準備が進められている。

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