大麻摘発の中学生が最多 文科相「薬物乱用防止教育に取り組む」

大麻摘発の中学生が最多 文科相「薬物乱用防止教育に取り組む」
10代の薬物乱用問題への対応を述べた阿部文科相=撮影:徳住亜希
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 警察庁の統計で2024年に大麻で摘発された中学生が過去最多となったことを受け、阿部俊子文科相は4月4日の閣議後会見で「大変憂慮している」と述べ、さらに「若者の医薬品の過量服薬が増えている状況」との認識を示した。その上で学校での薬物乱用防止の施策について触れ、「警察職員や薬剤師などの外部講師も活用した、薬物乱用防止に関する教育が行われている。SNSなどの活用も含めて、薬物乱用防止に関する教育の充実にしっかり取り組んでまいりたい」と強調した。

 警察庁が今月3日に公表した「令和6年における組織犯罪の情勢」によれば、24年に大麻で摘発された10代以下は全体の約2割を占める1128人に上り、うち中学生は26人で過去最多を更新し、高校生も206人に上った。加えて同庁が24年10~11月に実施した調査によれば、大麻取締法違反(単純所持)で摘発された889人に「初めて大麻を使用した年齢」を尋ねたところ、半数近い49.4%が「10代以下」と回答するなど低年齢化が懸念されている。

 これらの問題への対応として、阿部文科相は全国の小・中・高校で行われている薬物乱用防止の取り組み状況について、学校保健計画に基づく薬物乱用防止教室を、小学校で79.4%、中学校で90.0%、高校で87.0%が開催していると説明。加えて、違法薬物だけでなく市販薬・処方薬の乱用が10代で増加している状況を踏まえ、文部科学省として「薬物乱用の危険性、さらには有害性について、本年の1月からSNSで発信を始めた」としている。

 薬物乱用防止教育を巡っては、各啓発キャンペーンで使用される標語「ダメ。ゼッタイ。」に代表される薬物の危険性を強調する形での教育により、治療や相談につながるハードルを高くし、依存症への偏見を助長するなどの批判が薬物依存症に関する専門家から上がっている。

 文科省の担当者は「危険性を強調する薬物乱用防止教育への問題の指摘は、文科省としても把握している。危険性は伝える必要があるが、治療につなげる敷居が高くなるとの指摘も踏まえた上で、薬物乱用防止教育の在り方を考えていかなければならないと受け止めている。他の省庁や地域とも連携する形で取り組んでいきたい」と語った。

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