東京都教育委員会は、中学生を対象に休日にボルダリングなど多様なスポーツ・文化活動を体験できる場を提供するプログラムを試行的に実施することを決め、このほど定例会に報告した。2025年度は都立中学校の生徒を対象に都内3カ所で実施し、成果を見て次年度以降に拡大するか検討することにしている。
都教委が新たに実施するのは、多様な体験活動プログラム(Youth Activities in Tokyo)。昨年8月に都内の中学生や保護者などに部活動の地域移行に関するアンケート調査をした際、「さまざまな活動に参加したい」というニーズが高かったことを受けて、都教委の「学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画」に盛り込まれた。
実施されるのは、ボルダリング、ダンス、スケートボード、ボウリング、eスポーツ、軽音楽の6種目。アンケートで寄せられた生徒のニーズも踏まえ、学校では体験しにくい種目を選んだという。都内の東部、中部、西部の3地域に1カ所ずつ、6種目を体験できる会場を設け、早ければ夏ごろからプログラムを始め、土日を中心に年間20回程度開催したいとしている。25年度は都立中学校10校の生徒を対象に試行的に実施する。生徒の参加費などはかからない。
都教委の担当者は「体験活動プログラムについては、部活動移行というより新たに活動の場を創出する目的で、生徒が個人単位で休日に参加できるプログラムを試行的に実施することにした。1年間の成果や課題を踏まえて拡大するかどうか検討したい」としている。
さらに都教委では、部活動の地域移行の一環として、新たに民間事業者と連携して地域の中学生が参加できる地域クラブ活動を創出する事業に取り組むことも決めた。25年度は試行的にサッカーの地域クラブを1カ所立ち上げる方針で、設置を希望する自治体を募集する。
都教委によると、各地域で部活動に代わる受け皿をつくる環境が整っておらず、都が民間事業者を支援する形で学校の教育活動とは切り離した形で地域クラブを立ち上げることにしたという。地域クラブは周辺の複数の中学校の生徒が参加できる形で運営される。種目をサッカーにした理由については、子どもの数が減ってチームを編成しにくいという声があることなどを踏まえて決めたという。
また、並行して部活動の地域連携・地域移行に協力できる企業を都内全域で調査してデータベースを作成する事業も始め、区市町村に提供するなどして部活動の地域移行を後押しすることにしている。