学校のバリアフリー化 「必要な予算確保に努める」と文科相

学校のバリアフリー化 「必要な予算確保に努める」と文科相
学校施設のバリアフリー化の進捗について述べた阿部文科相=撮影:徳住亜希
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 整備の遅れが指摘されている公立小中学校のバリアフリー化について、阿部俊子文科相は4月8日の閣議後会見で「2025年度末までの整備目標の達成に向けて、引き続き取り組みの推進が必要な状況であると考えている」と述べた。その上で、遅れの一因となっている物価高騰の影響について「国庫の補助単価の見直しも含めて、必要な予算総額の確保に努めてまいりたい」と話し、学校施設のバリアフリー化を推進すると強調した。

 先月28日、文部科学省が公表した実態調査では、校舎にバリアフリートイレが整備された学校は74.3%で、22年度の前回調査から3.9ポイントの増加にとどまった。国は25年度末までに避難所に指定されている全学校に当たる94%の整備目標を掲げているが、達成困難な状況となっている。段差を解消するためのスロープの整備、エレベーターの設置といった他の整備項目や屋外施設についても、同様の傾向が見られた。

 この実態調査に合わせて公表された有識者による検討部会の経過報告では、バリアフリー化に向けた整備が現状のペースで進められた場合、目標達成には「校舎については、少なくとも10年以上の期間が必要な状況である(屋内運動場については、20年弱の期間が必要)」と指摘している。

 バリアフリー化に向けた整備が困難な理由について、阿部文科相は学校設置者からの意見として「域内の学校の統廃合の予定が決まらず計画が立てられない」「大規模改修と合わせた整備を予定しており、早期のバリアフリー化の整備の実施が困難」などの声を聞いていると説明。

 また前出の経過報告では、整備計画に遅れが生じた背景として「物価高騰などの影響を受けて、建設工事において入札不調が発生したり、設備納期の遅延により工期が伸びたりするなど、計画通りに整備を進められないという状況も生じている」と指摘していた。

 これらの対策として阿部文科相は、25年度予算でバリアフリー補助を含む公立施設の整備に691億円を計上したことや、国庫補助単価についても資材費の動向などを勘案し、22年度から連続で10%の引き上げを行ってきたことを説明。その上で「各自治体が学校施設の計画的な整備を行えるよう、引き続き努力をしていきながら、国庫の補助単価の見直しも含めて、必要な予算総額の確保に努めてまいりたい」とあらためて強調した。

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