スポーツ関連ボランティア希望率、過去最低 部活動地域移行に影響も

スポーツ関連ボランティア希望率、過去最低 部活動地域移行に影響も
写真右から、記者発表会に登壇した東京大大学院の鎌田真光准教授、高峰教授、笹川スポーツ財団の水野陽介氏=撮影:徳住亜希
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 2020年以降、報酬を目的としないで地域スポーツなどの活動を担うスポーツボランティアの希望率は減少が続き、24年は9.7%に落ち込んだことが4月8日、笹川スポーツ財団の調査報告書「スポーツライフ・データ2024」で明らかになった。10%を割り込んだのは調査開始以来、初めて。ボランティアの実施率も「地域スポーツの審判」など一部の項目で減少が見られた。調査委員長を務めた高峰修明治大学教授は、これらの結果は地域移行が進められる部活動にとって「大きな課題」と話し、スポーツボランティアの在り方について「指導者の供給側ではなく需要側からのニーズを見積もり、練り直していく必要があるのではないか」と指摘した。

 調査は日本での運動・スポーツ活動の実態を捉え、施策推進に資する基礎資料を広く提供することを目的に、全国の成人(16年からは18歳以上)を対象として1992年から隔年で実施。スポーツボランティアなどの「ささえる」スポーツをはじめ、運動実施率や実施種目等の「する」スポーツ、試合観戦やテレビ・インターネットの観戦率といった「みる」スポーツについて、訪問員が質問紙を回収する訪問留置法での調査を行っている。

 調査結果によれば、1年間に全く運動・スポーツを行っていない男女は全体の69.8%に上り、22年の前回調査から3.1ポイント増加、06年の調査から18年ぶりに6割台となった。18歳・19歳に限ると19.1%。性別による内訳を見ると、男性の16.2%に比べ女性は22.6%とより高い割合を示したが、他の年代でも同様の傾向が見られた。

 一方、年1回以上「する」運動・スポーツの種目と実施率は、18・19歳では「筋力トレーニング」「ジョギング・ランニング」がともに20.6%で最多。「筋力トレーニング」は22年の前回調査でも1位となったが、24年の実施率は15.4ポイント減で大きく落ち込んだ。

 地域のクラブ活動やイベントなどを「ささえる」スポーツでは、ボランティアの希望率が9.7%となり、ボランティアの実施状況の調査を開始した94年以来、初めて10%台を下回った。スポーツボランティアの実施率は5.4%で、前回調査に比べ微増したものの、コロナ禍前に当たる18年の6.7%には届かなかった。加えて「日常的なスポーツの指導」は33.5%(前回調査に比べ5・1ポイント減)、「地域スポーツの審判」11.8%(同1.6ポイント減)、「全国大会・イベントの運営や世話」5.6%(同0.7ポイント減)となり、いずれも実施率が減少した。

 これらの結果を踏まえ、前出の高峰教授は「部活動の地域移行が進められる中、単に技術を教えるだけでなく、子どもたちのスポーツを支えるという文脈でボランティアや指導者が求められている」と分析した。

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