教職調整額の引き上げ率改善 首相「変更含めて適切に対応」

教職調整額の引き上げ率改善 首相「変更含めて適切に対応」
給特法改正案を巡り答弁する石破首相=衆院インターネット中継より
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 教員の処遇改善に向けた給特法改正案を巡る審議が4月10日から衆議院で始まり、初日は与野党6議員が質問に立った。この中で、教員に支払う教職調整額を現行の4%から毎年1%ずつ増やして10%にするとの内容について、「なぜ年1%なのか。それ以上の引き上げもあり得るのか」との質問に、石破茂首相は「2028年1月以降をめどにさらなる改善を検討し、『率の変更を含め必要な措置を講ずる』との規定に基づき、適切に対応する」と述べ、今後の状況に応じて率の引き上げも検討する姿勢を示した。

 給特法改正案を巡る初めての審議は、本会議場で行われた。初めに阿部俊子文科相が趣旨説明に立ち、教師の人材確保が困難な情勢の中、働き方改革の一層の推進や教師の処遇改善を図るため、教育委員会による業務量管理や実施計画の策定・公表の義務付け、教職調整額の引き上げなどを盛り込んでいることを説明した。

 議員からは、長時間勤務が常態化している教員の業務削減に向けた取り組みについて質問が相次いだ。坂本祐之輔議員(立憲)は、文部科学省が教師の平均時間外在校等時間を今後5年間で約3割縮減して月30時間程度とする目標を示していることについて、「何をどれだけ削減して月30時間になるのか、工程表が何も示されていない。どのように業務削減するのか」と質問した。

 これについて石破首相は「教師の時間外在校等時間の削減のため、業務の仕分けを行った学校・教師が担う業務にかかる3分類に基づく業務のさらなる見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化による事務作業のさらなる縮減を進めていく」などと繰り返し答弁した。

 また、坂本議員は、教職調整額について4%から毎年1%ずつ増額して、2030年度までに10%に増額するとの内容について、「なぜ年1%の増額にとどまったのか。それ以上の引き上げや早期の引き上げもあり得ると考えているのか」と追及した。

 これに対し石破首相は、28年1月以降、働き方改革や財源確保の状況によって教員の勤務条件改善を検討し、「教職調整額にかかる率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずる」との規定が法案にあることに触れた上で、「適切に対応する」と述べ、段階的な引き上げ途中の改善に含みを持たせた。

 また、西岡義高議員(国民)は、教員の勤務実態を把握するための調査が過去に4回しか行われていないことを指摘。「今回の法案による長時間勤務の是正効果を確認するには、国による教員の勤務実態調査が必要だと考えるが、次の調査の実施や時期はどうなっているのか」と質問した。

 これに対して阿部文科相は「教員勤務実態調査は学校現場への負担も大きいが、最近は各教育委員会で教師の在校等時間の客観的な把握が徹底されてきた。これらの点を踏まえ、今後は基本的に毎年度、教育委員会に対する調査を通じて、全国の教師の時間外在校等時間の状況を適切に把握していく」と述べ、法改正によって教員の勤務実態が改善されているか毎年チェックして改善に取り組む姿勢を示した。

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