辞書を使った学びの意義は? 辞典協会が教育関係者に調査

辞書を使った学びの意義は? 辞典協会が教育関係者に調査
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 ネット検索が普及する中で辞書を使って学ぶ意義とは?――。そのような危機感から、辞典を刊行する出版社が加盟する辞典協会はこのほど、小・中・高校の教員などの教育関係者を対象に、辞書を使った学習についてアンケートを行った。電子辞書を含めると回答者の7割が辞書の利用を勧めており、9割近くが辞書の使用で学力が向上すると捉えていた。

 アンケートは昨年12月5~19日に、教育関係者1万5008人に実施した。回答者の内訳は▽小学校教員 17.7%▽中学校教員 11.2%▽高校教員 14.8%▽大学教員 9.2%▽塾・予備校の教員 7.4%▽その他(退職した教員や幼稚園教諭、保育士など) 39.7%。

 同協会がこうしたアンケートを行ったのは初めてで、GIGAスクールの浸透などで従来の紙の辞典や電子辞書に加えて、辞書アプリやネット検索など、情報収集の手段が多様化する中で、教員が辞典をどのように捉え、どういった学習効果を期待しているのかを尋ねた。

【グラフ】学習者に辞書を勧めているか
【グラフ】学習者に辞書を勧めているか

 その結果、回答者の7割が紙、電子を問わず辞書の利用を子どもたちに勧めていることが分かった(=グラフ)。特に小学校の教員は紙の辞書を勧めている割合が46.7%と高かった。

 語彙(ごい)の指導に最もふさわしいもの・役立つものは、▽紙の辞書 35.7%▽紙とデジタル 40.0%▽電子辞書(辞書アプリ) 12.9%▽検索エンジン 11.4%――となり、紙とデジタルの併用が進んでいる状況が伺える。小学校の教員と中学校の国語の教員は「紙の辞書」が5割を超えていた一方、高校の英語の教員は「電子辞書」が26.6%と他の校種・教科の教員より高く、教科の性質も影響がありそうだ。

 辞書を使うことで身に付く力を複数回答で尋ねると、語彙力(71.7%)が最も高く、次いで情報収集能力(58.8%)や読解力(47.3%)が続いた。中学校と高校の英語の教員の回答は、表現力が読解力を上回っており、同協会では、近年の英語教育で重視されている「話すこと」「書くこと」の指導で、辞書を使って表現力を磨くことへの期待の表れとみている。

 子どもの学力は辞書を使用している方が向上すると「とても思う」「思う」と答えたのは86.7%に上った。自由記述からは「例文や語句の由来、同義語、対義語など一つの単語から背景や多くの情報が得られる」「探す根気強さと見つけるまでの情報収集力、語彙力の増加は学力の向上につながると思うため」「自分自身で調べた方が記憶に残り、理解が深まると思うから。また、関連する言葉などへ関心が広がると思うから」などの声があった。

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