今年度の全国学力・学習状況調査のうち、中学校理科の試験が4月14日から始まった。今回の全国学力調査では、初めてオンラインのCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)方式が中学校理科に導入され、ネットワークの負荷を軽減するため、試験日を4日間に分散して実施されている。文部科学省によると、初日は2367校の中学校で実施され、14日夕までに目立ったトラブルは確認されていないという。
今年度の全国学力調査は、4月17日に小学6年生と中学3年生を対象に国語、算数・数学、理科の3教科が実施される。ただしCBT方式が導入された中学校理科のみは、ネットワークへの負荷を考慮して学校ごとに14~17日の4日間に振り分けられた。今年度の全国学力調査には小中学校合わせて2万8149校が参加する予定で、このうち中学校は9632校。初日の14日は2367校で中学校理科の試験が実施された。
これまでの紙の用紙からCBT方式に切り替えられたことで、 中学校理科では動画などを使った出題や解答が可能となった。生徒ごとに異なる問題セットが割り当てられ、これまでは正答率などをベースに分析していたが、幅広い領域・内容で調査して、より精緻に学力・学習状況を把握するIRT(項目反応理論)が活用される。このため学校や児童生徒に返却する結果の表示も変わり、学校には平均スコアを500にしたスコアなど、生徒個人には5段階スコア(標準3)などで伝えられる。
また、全国学力調査を巡っては、都道府県・政令市別に平均正答率が公表されていることで、全国知事会から「都道府県の差や順位のみが独り歩きして教育現場の混乱を助長している」などとの指摘があったことを踏まえ、今年度は平均正答率に加えて、学力に質問調査も合わせた状況を分析した散布図など、多面的に解釈することができるよう改善した形で結果を公表することにしている。
全国学力テストへのCBT導入は2026年度に中学校英語で実施され、27年度には小学校、中学校ともに全教科でCBTに全面移行する方針が決まっている。