生理について女性も男性も対話するきっかけをつくろうと、横浜国立大学では4月14~18日まで、同学附属図書館で有志の学生らによる生理をテーマにした企画展を行っている。同15日には梅原出学長がシミュレーターで生理痛を疑似体験。職場や学生の教育・研究での合理的配慮の必要性を痛感していた。
ダイバーシティの推進に取り組む同学では昨年10月、フェリス女学院大学と相互協力・連携協定を結んでおり、フェリス女学院大での生理についての啓発活動を参考に、男性も女性も生理について理解や関心を持ち、対話を促すイベントとして、5人の有志の学生が企画した。展示では、生理に関する解説のほかに、当事者の声を多数紹介し、企画展に足を運んだ人が感想やコメントを付箋で書き込めるようにしている。
また、テクノロジーを活用した医療プログラムを展開するリンケージが提供している生理痛シミュレーターの体験コーナーも設けられており、イベント2日目の4月15日には、梅原学長らが生理痛の疑似体験に臨んだ。へその下あたりに付けた電極パッドから、弱、中、強の3段階で生理痛を再現した痛みが実感できる。同社によると、強は、8割ほどの女性が生理が最もつらいときに感じる痛みに相当するという。
体験を終えた梅原学長は「痛みというよりも体験したことのない不快な感じがした。こういう中では勉強しようにも集中力が欠けてしまう。女性に活躍していただくにはソフト面もハード面も環境を整備しなければいけない」と感想を話した。
その上で「例えば試験日に生理痛がひどいから日程を変えてほしいと言われても困るけれども、何かしらの合理的な配慮は各学部で考えていいかもしれないと思った。平等性とは何かという議論もしっかりしないといけない。この痛みが続く中では試験勉強もできないだろうし、試験自体も難しいだろう。何らかの合理的配慮は考えるべきだと思う」と、合理的配慮の必要性を指摘した。
有志の学生メンバーの一人である教育学部3年生の井上歩美さんは「生理は男性だけでなく女性同士でも話す機会があまりない。無理にオープンに話すというよりも、何か困ったときにお互いに助けを求めたり、助けたりできる社会にしていきたい」と力を込める。
【キーワード】
合理的配慮 障害者差別解消法では、さまざまな社会的バリアについて、生活面で相当な制限を受けている人が意思表示することで、負担が過重ではない範囲で社会的バリアを取り除くために必要な対応をすることを義務付けている。例えば、読むことに困難がある児童生徒への音声読み上げソフトの提供などが挙げられる。