今月実施された今年度の全国学力・学習状況調査のうち、初めてオンラインのCBT方式が導入された中学校理科の試験について、文部科学省は4月22日、45校でネットワーク・端末などのトラブルがあり、試験が未完了であると発表した。また、これとは別に生徒単位で1758人にトラブルが確認されたという。いずれも後日実施が可能。同省は全体的にはトラブルがごく一部にとどまったことから、「ほとんど全ての学校生徒で正常に調査を完了することができて、調査の実施という初期の目的を達成できたと捉えている」とコメントしている。
全国学力調査は今月17日に国語、算数・数学、理科の3教科が実施され、このうちCBT方式が初めて導入された中学校理科のみ、ネットワークへの負荷を考慮して14~17日の4日間に分散して実施された。
同省が今月18日正午時点で各学校から提出された報告を集計したところ、中学校理科については、終了報告のあった9110校のうちネットワーク・端末などのトラブルで19校(全体の0.21%)、実施準備面のトラブルで26校(同0.29%)の、合わせて45校(同0.5%)で試験が完了しなかったという。
具体的には複数の学校からサーバーの不調があったと報告があり、この中には緊急メンテナンスをして復旧し、後日実施を検討している学校もあるという。また、セキュリティソフトの影響で動画や画像が表示されなくなったとみられるケースも複数あった。実施準備面では、生徒への事前の問題配信がうまくいかなかったケースや実施指定日を誤ったケースなどがあったという。
また、これとは別にCBT方式の試験を受けた90万5351人(推定)の生徒のうち、ネットワーク・端末などのトラブルで1689人(全体の0.19%)、準備・操作面のトラブルで69人(同0.01%)の、合わせて1758人(同0.2%)の生徒は試験が完了していなかった。具体的には、「調査問題が表示されなかった、表示に時間を要した等」(752人)、「解答データの提出をできなかった」(472人)というケースが目立ったほか、学校が適切にアカウントを設定しなかったケースなども確認された。
ネットワークのトラブルなどで試験が未完了だった学校・生徒については、今月30日までの期間で後日実施できる。同省の相原康人学力調査室長は「ほとんど全ての学校生徒について正常に調査を完了することができて、初期の目的を達成することができたと捉えている。調査を完了できなかった学校生徒についてはトラブルに見舞われたことに大変心苦しく思う部分もあるが、状況が許せば、ぜひ後日実施の検討を進めていただきたい」と述べた。
同省は5月に全国学力調査に参加した小中学校へのアンケート調査を初めて実施し、特に中学校に対してはCBT方式に関する意見や要望を広く聞いて、ヒューマンエラーを防ぐ手順の工夫など今後の改善策を検討することにしている。