東京都教育庁は4月24日、昨年度の条件付採用教員の任用状況を公表した。新規採用教員4237人のうち、正式採用とならなかったのは240人で、その割合は5.7%と、4年連続で増加している。240人のうち217人が自己都合退職者で、そのうち約4割はメンタルの不調など病気を理由としたものだった。
都が小学校、中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校、特別支援学校において昨年度に新規採用した条件付採用教員は4237人。そのうち正式採用とならなかったのは240人で、小学校が146人と約6割を占めた。地方公務員の条件付採用期間は通常6カ月のところ、教諭等(教諭、助教諭、講師)については1年間とされている。
条件付採用教員のうち、正式採用とならなかった人の割合は、2020年度は2.8%、21年度は4.2%、22年度は4.4%、23年度は4.9%、24年度は5.7%と推移しており、過去5年間の中で最も高く、4年連続で増加している。都教育庁の担当者はこの傾向について、「条件付採用教員の母数自体が増えていることもある。5.7%という割合は、民間企業における大卒1年目の離職率10.9%と比較すると低く、定着率としては高いのではないか」と述べた。
また、正式採用とならなかった240人の内訳は「年度途中の自己都合退職者等」が最も多く、217人。そのうち約4割はメンタルの不調など病気が理由で、約3割が転職や進学、約1割が介護など家庭の事情が理由だった。
その他、「懲戒免職」は1人で、「正式採用『否』の者」は22人。その全員が「自主退職者」だった。自主退職者の内訳は、小学校が13人、中学校が8人、特別支援学校が1人だった。
都教育庁では、小学校の新規採用教員全員に対し、臨床心理士などが年2回、学校を訪問し、面談を行うアウトリーチ型の相談事業や、同じく小学校の新規採用教員が同年代の先輩教員に仕事の悩みなどを相談できるメンターの仕組みも導入。都教育庁の担当者は「こうした取り組みの効果は一定程度、出てきている。今後も離職防止に向けて、対策や支援を強化していく」としている。