教員不足深刻化 鳥取県知事が「地域枠創設」など文科相に要望

教員不足深刻化 鳥取県知事が「地域枠創設」など文科相に要望
阿部文科相(写真右)に要望書を渡す鳥取県の平井知事=撮影:山田博史
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 全国的に教員不足が指摘される中、鳥取県の平井伸治知事は4月24日、文部科学省を訪れ、鳥取大学への地域教員希望枠の創設など、教員養成機能の強化へ支援を求める要望書を阿部俊子文科相に渡した。要望の後、平井知事は「鳥取県は全国で唯一、教育学部機能を県外に譲った特殊な事情があるが、もう一度再興したいとの思いで鳥取大学と協議を進めており、必要な支援をお願いしたい」などと教員不足解消への思いを述べた。

 鳥取県では、1999年に鳥取大学に教育学部がなくなった後、県内の公立小学校の新規採用者に占める鳥取大学出身者の割合が減り続け、92年には54%を占めていたが、今年は4.9%にまで落ち込んだ。特に合格者の辞退が多く、今年度採用試験では204人の小学校教員合格者のうち、約半数の107人が辞退した。

 こうした状況を踏まえ、要望書では鳥取大学の教育学部再興をはじめ抜本的な改革に向けて必要な支援を求めるとともに、鳥取大学が国に申請している地域教員希望枠を活用した機能強化などの事業について、優先的な採択を要望している。

 阿部文科相との面会後、取材に応じた平井知事は「多くの辞退者が出た後、何とかやりくりしながら教員を確保しているが、その根本原因は地元に教員養成機関がなくなってしまったことにある。現在、教員養成に向けて大学側も地域と一体になって育成プログラムづくりや大学の組織を変えようと動いており、文科省の応援をいただきたい」と強調した。

 具体的には、同学の地域学部の中に定員5人程度の「地域教員希望枠」を、2026年度入試に導入するのを目指していることや、高校時代から教員育成カリキュラムに参加して、教員としての定着までのキャリアライフを考えるプログラムづくりに取り組んでいるという。

 こうした要望に対して、阿部文科相は「特別の地域教員希望枠の設定をはじめ、文科省としても審議を経て、しっかりとフォローしていきたい」などと述べたという。

 平井知事は「教育学部再興という夢もあるが、まずは全国的に教員不足が急速に加速している中で、やれることから取り組むことが大事と考えている。高校生が鳥取大学に教員になるために受験していくという環境を現実につくることを、まずは目指したい」と語った。

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