子どもの自殺対策や「小1の壁」など意見交換 国と地方の協議の場

子どもの自殺対策や「小1の壁」など意見交換 国と地方の協議の場
意見交換する三原担当相(左)と村井知事(右)=撮影:水野拓昌
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 こども政策で地方自治体と連携するため、こども家庭庁は全国知事会、全国市長会、全国町村会と意見を交換する「こども政策に関する国と地方の協議の場」を4月24日に開催した。2025年度の初会合で、こどもまんなか実行計画2025、子どもの自殺対策、子ども・若者の居場所作りの取り組み――といったテーマが議題に挙がった。

 三原じゅん子こども政策担当相は「こども政策は国と地方が車の両輪となって取り組む必要がある。特に困難に直面する子ども・若者への支援、質の高い育ちの環境の提供、少子化対策などをしっかり進めたい。その際、子ども・若者の意見をこれまで以上にしっかりと聞き、こども施策のバージョンアップを図りたい」と意気込みを示した。

 全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)は「自民、公明、維新の3党協議で高校無償化などが実現された。所得や地域に関係なく、誰もが安心して子育てができる環境整備は、こども政策の重要な課題。全国知事会もこれまで要望してきた内容で、今後の制度設計では国の責任と財源で確実に措置されるようお願いしたい」と手応えを示すとともに要望を加えた。

 オンラインで参加した全国市長会の松井一實会長(広島市長)は「こども大綱の目指す、全ての子ども・若者が身体的・精神的に幸福な生活が送ることができる社会の実現は、全ての人々の願い。今回のテーマであるこどもまんなか実行計画を着実に推進することで、国と地方が協議を重ねながら取り組んでいくことは極めて重要だ」と強調。

 全国町村会からは行政委員会委員長代理の栃木県茂木町・古口達也町長がオンラインで参加し、「少子化対策は地域の持続可能性や国の将来に大きく関わる重要な課題であり、町村もその役割をしっかりと果たしていきたい。ただ、一朝一夕に効果が出るものではないとも認識している。一歩一歩ではあるが、国の支援、指導をいただきながら進んでいきたい」と述べた。

 子どもの自殺対策について、三原担当相は「昨年、小中高生の自殺者数が過去最多となったことは痛恨の極み。都道府県、政令市には、こども・若者の自殺危機対応チーム設置をお願いしている。チーム設置は全額補助もあり、積極的に活用してほしい」と訴え、自治体との連携が重要だとの認識を示した。松井市長は「子どもの自殺はわが国にとって重要な課題であり、あってはならない。まず、自殺は人として選択してはならないものという考え方を十分に周知し、早期の気付き、支援につなげることができる仕組みが求められる」として、関係機関との連携の重要性を指摘した。

 また、子ども・若者の居場所づくりについては、三原担当相は「小学校の保護者からは朝の居場所の確保が大変だという声を聞いている。共働き世帯の増加が見込まれる中、国としても地域の実情やニーズを踏まえ、自治体と連携しながら取り組んでいく」との認識を示し、自治体側からも、子どもが小学校に入学し、保育所に通わせていた時とは違って保護者の働き方などに影響する「小1の壁」といわれる課題への指摘が言及された。

 こども政策に関する国と地方の協議の場は23、24年度も2回ずつ開催されている。

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